
村上早紀 著
「花咲家の人々」
(徳間文庫)
風早の街で戦前から続く老舗の花屋「千草苑」。経営者一族の花咲家は、先祖代々植物と会話できる魔法のような力を持っている。併設されたカフェで働く美人の長姉、茉莉亜。能力の存在は認めるも現実主義な次姉、りら子。魔法は使えないけれども読書好きで夢見がちな末弟、桂。三人はそれぞれに悩みつつも周囲の優しさに包まれ成長していく。心にぬくもりが芽生える新シリーズの開幕!−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
どれもとても優しい物語でした。心がほんわかするような・・。
でも、文章が読みにくかったんですよね。ずっと「です・ます調」で書かれていることと、誰か一人が語り手になっているわけではなく、コロコロと心情を語る人物が変わっていくのがわかりにくかったです。
話の内容が良かったのに、読み終わるのに時間がかかってしまいました。
花咲家の人々は、植物と会話し、その力を借りることもできる不思議な能力を持っています。そんな花咲家の物語が4編で描かれています。
一話ずつ、主人公が変わっています。
「黄昏時に花束を」は、長姉・茉莉亜の物語。ラジオのDJもやっている彼女が、過去の自分を語り、亡き母親への想いを語ります。軟らかい雰囲気を持つ彼女ですが、過去には色々あったようで、心の中を語っていく場面では、感動させられました。
「夏の怪盗」は、次姉・りら子の物語。高校生のりら子は、自分の持つ不思議な力をうまく使っていて、理解もしているのですが、どこか現実主義な所があり、天国や霊などの存在を信じていません。理由は亡き母親のことなのですが。
「草のたてがみ」は、末弟・桂の物語。彼だけはなぜか不思議な力を持っていません。一番似合いそうなタイプに思えたのですが。彼の真っすぐな性格はかわいいと思う反面、近くにいたらイライラもさせられそうな気がします。
「十年めのクリスマスローズ」は、父親の物語。亡き妻との出会いや結婚生活などが描かれ、感動的な結末も用意してあります。ちょっとウルッとしてしまう素敵な物語でした。
途中で挟まれている祖父の話も素敵で、これだけ良い人たちだったら、植物と会話ができても不思議じゃない気がしました。植物と相性の悪い私には、うらやましくて仕方がない能力です。ホント、どうすれば花はきれいに咲くんでしょうか・・。
クリスマス前のこの時期に読むのにピッタリなお話です。
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