
ジル・チャーチル 著
新谷寿美香 訳
「八方破れの家」主婦探偵ジェーンシリーズ13
(創元推理文庫)
顔見知りの女性ビッツィから、古いお屋敷を企業向けの宿泊施設に改装するので、内装を担当してほしいと頼まれたジェーンとシェリイ。工事関係者はほぼ女性のみという異色ぶりに加え、契約書も設計図もいいかげんなことに、二人は不安を覚える。そのうえ当の屋敷に嫌がらせをされ、止めにある夜、関係者の死体が転がる事態に・・・主婦探偵がリフォームの手を貸す、シリーズ第13弾。−裏表紙より−
近所にあった古い屋敷を改装して宿泊施設にしようとしているビッツィから内装を担当してほしいと頼まれたシェリイとジェーン。なぜ2人が選ばれたのか?というと、シェリイの家を見て内装の趣味の良さを認めたからだそうで、ジェーンは彼女の親友だしお隣だからきっと趣味が良いんだろう、という安易な選ばれ方をしました。
シリーズを読んでいる人からすれば、シェリイはともかく、ジェーンの家の趣味が良いとは思えません。子ども3人、猫2匹、犬1匹・・という構成でキレイに保つだけでも難しそう。
でもまあ、ビッツィの勘違いにより選ばれた2人は、とりあえずその屋敷を見に行くことに。そこで働いていたのはほとんどが女性。フェミニストだという責任者により、女性を中心に選ばれたそうで、ジェーンたちにすれば違和感を感じずにはいられませんでした。
それでもシェリイは内装のためにたくさん買い物ができることにワクワクして、かなりやる気になっています。でも契約書を読んで愕然としました。契約の条件が悪すぎる上に、書かれている文法さえ間違いだらけ。そんな契約書を自分の思うように書きなおしたシェリイは、好契約を交わそうとします。
そんな熱くなるシェリイを見ながらどこか冷めていたジェーンは、家を測ったり内装の買い物に付き合ったりしているうちに、数年間かけて制作中の小説についてヒントを得て、久しぶりに作家活動を再開させます。
バタバタしているうちに、当然、殺人事件が発生し、2人は巻き込まれていきます。
今回は事件に関わっている時間が少なかったような気がしました。お陰で、誰が犯人なのか全く予想がつかないまま、突然犯人発見!という状態で、ジェーンやシェリイだけではなく私も驚いてしまいました。
ミステリーとしてはかなり物足りない巻になりましたが、ジェーンの作家としての今後も気になりますし、子どもたちがどんどん大きくなって離れていったとき、彼女はどう生きていくのかも気になります。もちろん、恋人メルとの関係も。
次も楽しみに待つことにします!
<主婦探偵ジェーンシリーズ>
「ゴミと罰」
「毛糸よさらば」
「死の拙文」
「クラスの動物園」
「忘れじの包丁」
「地上より賭場に」
「豚たちの沈黙」
「エンドウと平和」
「飛ぶのがフライ」
「カオスの商人」
「眺めのいいヘマ」
「枯れ騒ぎ」
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