
山口幸三郎 著
「探偵・日暮旅人の壊れ物」
(メディアワークス文庫)
『愛』を探す探偵の物語、セカンドシーズン第2弾!
目に見えないモノを視ることで事件を解決する青年・日暮旅人。彼が経営する『探し物探偵事務所』に、ある日見生美月と名乗る美しい依頼者が現れた。 旅人のことを「旅ちゃん」と親しげに呼ぶ美月は、どうやら旅人の学生時代の先輩らしい。旅人の過去を知る女性の出現に、陽子は動揺を隠すことができず−? 旅人の学生時代が語られる『昔日の嘘』、美月が旅人に謎を出す『箱の中』ほか、『傷の奮え』『憧憬の館』『竹馬の友』の全5編を収録。−裏表紙より−
あとがきにもありましたが、今回は“ブラック”な旅人がいっぱいです。
そのせいで暗い雰囲気がずっと漂っていて、連続して読むのが辛くなる感じでした。
「箱の中」で登場した美月が残していった言葉によって、少し雰囲気が変わってしまった旅人。ユキジや陽子は変化を感じ取りながらも、その変化の理由がつかめずにいます。
美月が残したのは「カイセン長くないんだって」という言葉。カイセンというのは、旅人と深く関わりのある人物だということが、最後の「昔日の嘘」という話で明らかにされていきます。この話を読むと、最後まで読んで良かったと思えました。旅人を支えてくれていた人がいたことに感謝したくなりましたし、彼と旅人の会話にはじわ〜っと涙が出ました。
陽子との仲も少し進展がありそうですし、ハッピーエンド!で終了・・かと思えば、最後の最後で何か不穏な空気が。まだまだ終わりそうもないですね。
「昔日の嘘」は感動しましたが、「憧憬の館」にはゾッとさせられました。ユキジの父親の友人の息子が行方不明になったので探すという内容なのですが、その父子の関係がすさまじいものでした。ユキジと似た境遇で育った彼は、ユキジのように反抗して家を出るという選択が出来ず、全てを受け止めてしまって壊れてしまいます。父親の横暴ぶりにイライラさせられました。
でもそれよりも、旅人の父親に対する態度が怖かった・・。怖いというか背筋がぞっとする感じでした。そこまで非道にならなくても良いのに。気持ちはわからなくもないけど、そこまでするか!?
きっとこれからも旅人の新たな面が見えてくるんでしょう。陽子とうまくいけばいい方向に進むこともあるでしょうし、今回のようにちょっとしたきっかけでブラックになることもあるでしょう。
楽しみなような、怖いような・・・。
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ちょっと台風で本を読みすぎてしまって順番待ち〜。
で、自分のレビュー(書き終えてます)を読んでると同じ本を読んでいるのに、
なんか私の感想はお気楽だなーと思いました(^^;)
その時の感想なのでそのままにしておきます。
本を読みすぎて順番待ちだなんてすごい!私なんて、この「旅人」読むのに何日かかったか・・。今回は苦戦しました。
igaigaさんの感想、楽しみにしています。