2013年08月29日

柚木麻子「終点のあの子」

終点のあの子

 柚木麻子 著
 「終点のあの子」
 (文春文庫)


プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名カメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方ないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、希代子にある変化が。繊細な描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作含む四篇。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。デビュー作だそうですが、登場人物たちの細かい描写に驚かされました。

女子高生たちが主人公の物語で、ザ・青春!という内容になっています。ある女子高に通う生徒たちの日常が4つの短編として描かれていて、少しずつ繋がりがあるので、違う視点から見たそれぞれの生徒の様子がわかって面白かったです。

フォーゲットミー、ノットブルー」では、希代子という中学からその学校に通っている生徒の視点で描かれます。高校の入学式の朝、見知らぬ生徒から声を掛けられ、気づけば彼女に惹かれていく様子が細かく描写されます。高校から入学してきた朱里というその生徒は、自分の気持ちをためらうことなく声に出して言う子なので、何かと友だちに気を使って生活している希代子にとっては驚きと同時にあこがれの存在となりました。希代子の想いと裏腹に、朱里は希代子以外の友だちとも分け隔てなく話したりあそんだりしているので、希代子はやきもちに似た感情を持つようになります。そして、学生にありがちな事件が起きてしまうのです。


甘夏」では、希代子と同じグループにいて親友だった森ちゃんという生徒の夏休みの生活が描かれています。森ちゃんから見た希代子の人柄も書かれていて意外な部分もわかって面白かったです。


ふたりでいるのに無言で読書」では、2人の生徒の話が描かれています。保田早智子はオタクと陰で呼ばれるグループにいて、クラスの中ではちょっと浮いた存在です。一方、恭子はクラスの中でも華やかな存在で、周りから憧れの眼差しで見られています。そんな2人は普段全く交流がありませんが、夏休みのある日、図書館で偶然出会います。そして育まれた友情・・・。


オイスターベイビー」は、それまでの話と違い、高校時代から7年後の姿が描かれています。主役となるのは朱里。これを読むと、1話目で想像していた朱里の人物像が変わってしまいました。最後まで朱里の気持ちは理解できない感じでした。


高校生なんて本当に狭い世界で生きているよな・・と思いました。社会人になった頃にはつまらないことで悩んでたな〜と思えるのですが、当時は友人の言動一つ一つがとても大きく感じて、一喜一憂したものです。大好きな友人が違う生徒と話していただけですごくショックで、本当は私となんて居たくないのでは?とか考えて落ち込んで・・。

そんな辛い想い出というか、痛い心ばかり思い出すことになって、読みながら辛くなってしまいました。

みんなきっと、どこにでもいる普通の高校生なんです。だから、女性なら誰が読んでもどこかに共感できる部分があると思います。懐かしい気持ちで読める人、私のように痛みを伴う読書になる人、様々でしょうが、たまにはこんな気持ちを思い出すのも良いかな?


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タグ:柚木麻子
posted by DONA at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他
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