
矢崎存美 著
「ぶたぶた洋菓子店」
(光文社文庫)
森の中の洋菓子店「コション」は、町のスイーツ好きに大人気のお店だ。可愛いぶたの顔形をしたサクサクのマカロン、ほろほろと口の中で溶ける絶品のマドレーヌ。ところが、そんな魔法のようにおいしいお菓子を作るパティシエの姿を見た人はいない。どこか秘密の場所で作っているらしいのだが・・・。心優しきぶたぶたが甘い幸せの輪を拡げてゆく、ほのぼのファンタジー。―裏表紙より―
連作短編になっていて「森の洋菓子店」「最初にやりたかったこと」「メッセージ」「帰ってきた夏」「たからもの」の5話収録されています。
「森の洋菓子店」で謎のパティシエ(もちろん、ぶたぶたさんのことです)とどうしても知り合いになりたかった男子高校生たちが、お店のトラックを追跡してとうとうアトリエの場所と、ぶたぶたさんとの出会いを果たし、彼らの後日談が「たからもの」で描かれます。
彼らがぶたぶたさんと知り合いになりたかったのは、お菓子のコンテストに出場しようとしていて、誰かにお菓子作りをきちんと教えてもらいたかったからでした。
初めの話はぶたぶたさんから修業させてもらえるという許可をもらった所で終わり、最後の話でコンテストに出場するための最終的なレシピ作りをする所まで描かれています。彼らの結果がどうだったのか?がわからないまま終わったので、とても気になりました。
でもまあ、結果はどうあれ、精一杯がんばれたんじゃないかな?と思うので、こんな終わり方でも良いのかもしれません。
「最初にやりたかったこと」はぶたぶたさんの店で働くことになったアルバイトの女性の話で、彼女の失敗からぶたぶたさんのやりたかったことが明らかになり、店の雰囲気も良い方向へ変わっていきます。
他の2話はあまりぶたぶたさんが中心の話ではありません。それでも存在感はあり、悩んでいる人たちを救っています。
この作品には、ぶたぶたさんの家族が出て来ます。今までのようにこっそりとではなく、結構しっかりとセリフもありますし、仲の良い家族の様子が描かれていて、温かい気持ちになれました。
特に、下の娘が最高のキャラクターで、またぜひ登場してもらいたいと思います。
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