
碧野圭 著
「半熟AD」
(光文社文庫)
番組制作会社の元ADで、今は無職の田野倉敦、二十七歳。仕事先を探す中、同居人の先輩に強引に引き込まれ、敦は一般人相手の映像製作会社を手伝うハメに。不本意な仕事ばかり舞い込むが、ある日、天才的な歌声を持つ少女が彼らのもとに現れて−。読めば元気が出ること間違いなし!お仕事小説で話題の著者が贈る、人生賛歌に満ちた爽快エンタテインメント!−裏表紙より−
「書店ガール」で気に入った作家さんですが、これも読みやすかったです。
この話は題名からもわかるように、主人公・敦はADの仕事をしています。担当していた番組の“やらせ”が発覚したせいで、制作会社を首になり、今は無職ですが。
なかなか仕事が見つからない日々を送っているとき、制作会社の先輩であり、同居人でもある岡本が思いついた映像制作会社の仕事を手伝うことになりました。
一般人相手に、結婚式などの行事のときにビデオを撮ってそれを編集して売る会社です。依頼があるのは犬のプロモーションビデオ的な物を撮影してほしいという物ばかり。飼い主が喜んでくれるのは良いのですが、何か物足りなさも感じていた敦ですが、あるとき歌手志望の少女と出会い、自分のやりたい仕事を少しずつ思い出していきます。
敦には年上の彼女がいます。彼女の方がテレビ界では地位も上で、バリバリ活躍しているので、周りには二人の関係を隠しています。陰で色々言われても気にしないようにしていた二人ですが、年齢差と仕事の格差が影響し、ぎくしゃくすることも増えてしまいます。
仕事もプライベートも挫折しそうになり、一時は引きこもりに近い状況になってしまい・・。
人生なんて思い描いた通りには進まない物で、でも立ちはだかる障害を越えたとき、明るい未来が見えてくる。そういうエールが込められているような作品でした。
何でも都合よくいきすぎな感じはありますが、そのお陰で明るい気持ちで読み終えることができて、彼らの今後の人生が素敵な物になるようにと思わず願ってしまうような優しい気持ちにもなれました。
ちょっとくじけそうになったとき読んでみると前向きになれるかもしれません。
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