2013年06月17日

木内昇「茗荷谷の猫」

茗荷谷の猫

 木内昇 著
 「茗荷谷の猫」
 (文春文庫)


茗荷谷の一軒家で絵を描きあぐねる文枝。庭の物置には猫の親子が棲みついた。摩訶不思議な表題作はじめ、染井吉野を造った植木職人の悲話「染井の桜」、世にも稀なる効能を持つ黒焼を生み出さんとする若者の呻吟「黒焼道話」など、幕末から昭和にかけ、各々の生を燃焼させた名もなき人々の痕跡を掬う名篇9作。−裏表紙より−


9つの短編で、それぞれが独立した話になっているのですが、少しずつ細かい所で繋がっています。その繋がりがとても細かくて、じっくり読まないと見逃しそうな感じです。

その分、気づくと嬉しいです。「お〜、ここに出てきた!」って感動します。

時間も1話目から少しずつ流れています。時代小説から現代小説へ移行するのが面白いです。

ただ、1話ずつがあまりハッピーエンドではないので、妙に暗い雰囲気がずっと漂います。はっきりした結末が描かれていない物も多いです。きちんと最後まで書いてほしいと思う人には向かない作品かもしれません。

私もあまり得意ではないのですが、この本はそれ以外の不思議な魅力がありました。

ただ単調に一般人の生活が描かれていて、特に大きな事件が起きるわけでもなく、本当に淡々と流れていく話なのですが、人生の奥深さというか、難しさが感じられました。

不器用な人の生き方が痛々しかったですし、もっと楽な生き方を選べたら違った人生だっただろう・・と思うと、悲しくなる話も。

全体的に重かったので、しばらくは軽めの話が読みたいと思いました。



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タグ:木内昇
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