
高橋由太 著
「もののけ、ぞろり」
(新潮文庫)
宮本武蔵の弟子・伊織は亡き母を蘇らせる外法に失敗、弟が白狐と化してしまう。人間の姿に戻るべく、本物の外法使いを探す兄弟が辿り着いたのは、夏の陣に揺れる大坂城だった。妖術で徳川家康に応戦していた淀殿は、豊臣秀吉や織田信長を復活させ大騒動に。襲いかかる物の怪から弟を守るため、伊織は妖刀村雨でもののけたちをメッタ斬り!愉快痛快、新感覚時代小説。文庫書下ろし。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
なかなか不思議な世界観の話でした。解説によると「ハガレン」という漫画と設定が同じだとか。私はよく知らないのでわかりませんでしたが「ハガレン」の設定が好きな人なら楽しめるということなのでしょう。
読み始めてしばらくは、設定に付いていけない状態が続き、置いて行かれている感が強かったのですが、キャラクターの面白さに少しずつ入り込んで読めるようになっていきました。
舞台は、江戸初期。家康が江戸幕府を開いて、息子に天下の座を渡した頃の話です。宮本武蔵の弟子・伊織とその弟・鬼火が主人公です。鬼火は亡き母を生き返らせるために用いた外法に失敗して、人間の名前を消され、白狐の姿にされてしまった少年です。
鬼火が話す言葉は兄である伊織にしかわかりません。2人はいつも一緒にいて、喧嘩もしながら行動しています。
鬼火を元の姿に戻すために、外法使いを探している伊織。天下人の家康のそばにいれば会えるのではないか?と思っています。家康のことを「狸のおっさん」と失礼な呼び方をする伊織ですが、家康には気に入られていて、かわいがってもらっています。
伊織のことは呼び捨てなのに、鬼火のことは「≪鬼火≫殿」と呼びます。その辺の事情も説明が無いのでどうしてなのかよくわかりませんが。
家康と共に赴いたのは、大坂城。有名な“夏の陣”のど真ん中!・・とはいえ、普通の歴史小説ではないので、ここから奇想天外なことが起きてきます。
家康に抵抗していたのは、淀殿。まあこれも歴史と同じですが、淀殿の戦い方が妖術!更には、とっくに死んだはずの信長に秀吉まで登場!
ちょっと呆然とする展開ですね・・。でも、妖術を使った戦いはなかなか面白かったです。
そして、何より笑えたのは、真田幸村のこと。なぜか、この小説ではオネエという設定で、ごつい身体なのに化粧をして、オネエ言葉をしゃべるんです。
気持ちの悪い彼を怖がる、伊織と鬼火の様子も笑えました。
1冊だけではまだ何もわからない状態。きっと鬼火が人間に戻ったら終わるんでしょうが、それはまだまだ先のようです。
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