
西條奈加 著
「善人長屋」
(新潮文庫)
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買い。髪結い床の半造は情報屋。唐吉、文吉兄弟は美人局。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが・・・。人情時代小説の傑作!−裏表紙より−
登場人物たちが本当に魅力的で、一気に話に引き込まれました。
裏稼業を持つ人たちが集まって住んでいる「善人長屋」に、本物の善人が引っ越してきました。ある手違いで住むことになった善人の加助は、長屋の人たちが人助けをしたのを見て感動してしまい、それからは自分で次々と困った人を拾ってくるようになりました。
そんな彼が持ち込む厄介な出来事を、文句を言いながらも手伝う長屋の人たち。
差配の娘・お縫は、裏稼業を持つ自分の親のことも、長屋の住人のことも好きになれない気持ちをもっていて、彼らの生き方に納得がいかない状態でした。
そこへ、根っからの善人が来て、人や厄介ごとを拾ってくるため、それに関わるうちにお縫の気持ちに少しずつ変化が。
加助の持ち込む人助けには、彼らの裏稼業がどうしても必要になってきて、彼らのお陰で善行もできるわけで、そのことに気付いて彼らを見る目にも変化が起きました。
長屋の住人の昔馴染みや、人生に大きく関わってきた人を助けることもあり、特に「犀の子守歌」は感動し、泣きそうになりました。
ここに出てくる人たち、みんなのことがすっかり気に入ってしまったので、ぜひ続編も読みたいです。シリーズ化して長く続けてもらえたら嬉しいです。
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