
伊坂孝太郎 著
「バイバイ、ブラックバード」
(双葉文庫)
星野一彦の最後の願いは何者かに<あのバス>で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。<特別収録>伊坂孝太郎ロングインタビュー。−裏表紙より−
この作家さんらしい不思議な雰囲気の物語でした。しかも普通の日常が描かれているような雰囲気もあり、でもそれだけではない・・という特異な話です。
星野一彦は、何かの理由で<あのバス>に乗せられ、命にかかわるような過酷な所へ連れて行かれようとしています。理由もバスの正体も、誰がどこへ連れて行くのかも明らかにされないまま話は進みますが、彼のそばにいる見張り役の女性のお陰で、とにかく怖い所へ連れて行かれるのだということは想像がつくようになっています。
見張り役の女性・繭美は、背も高く太っていて金髪で、言動はガサツで声も大きくて、一度暴れると誰にも止められない・・という一度見たら絶対に忘れないであろう女性です。
彼女を連れて、星野は付き合っている5人の恋人に別れを告げてまわります。恋人1人に1話。まず恋人と星野の出会いが書かれ、星のマークを挟んで「あれも嘘だったのね」という恋人の言葉から次のシーンが始まります。そして、星野は告げる別れの言葉と繭美の暴言・・。
始めは繭美の暴言にイライラさせられ、2話目の頭を読んでまた同じパターンが続くのか・・とちょっと嫌気がさしたのですが、わかれ話をしたときの反応が違ったり、恋人の性格が変わっていたり、様々なタイプの話が用意されていて、結局は最後まで楽しく読み切ることができました。
更に、あんなに嫌な奴だった繭美のこともどんどん好きになっていく!自分でも驚きでした。
話の後に、作者のインタビューが載っているのですが、それを読んで、自分が作者の思惑通りにはまっていたことがわかりました。1話目に普通の女性を出して、2話目以降で少しずつ変化をもたせている・・とか。私が思ったままやん!すごい単純なのか!?
まあそれはともかく。
最後まですべてのことがはっきりさせられるわけではないので、もやもやした感じは残るかもしれません。でも、この作品ではこういう終わり方も良いのかな?と思いました。
さあ、次は何を読もうかな?
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