2013年04月04日

岡篠名桜「浪花ふらふら謎草紙」

浪花ふらふら 謎草紙

 岡篠名桜 著
 「浪花ふらふら謎草紙」
 (集英社文庫)


商人の町として賑わう大坂の旅籠「さと屋」の看板娘・花歩は十七歳。実は幼い頃、さと屋に置き去りにされた娘だ。父親らしき男が残した数枚の風景画に描かれた景色を探して町のあちこちを歩くうち、すっかり町に詳しくなり、町の人たちにも何かと親切にしてもらえるようになった。それを生かして、花歩は大坂の名所案内を始めることにするのだが・・・。浪花の人情溢れる書き下ろし時代小説。
−裏表紙より−


初めましての作家さんです。読書メーターで紹介されていて面白そうだったので読むことにしました。

始めはどうも文章が読みにくくて、自分には合わないかも・・と心配になりました。何とか読み進めるうちに、登場人物たちのキャラクターが気に入って、気づけば入り込んでいました。


舞台は大坂の町。「さと屋」という旅籠で暮らす花歩という娘が主人公です。17歳というと、そろそろお年頃なのですが、彼女はまだまだ幼い雰囲気を残しています。

実は幼い頃、さと屋の泊り客だった父親に置き去りにされていました。そのままさと屋の主人夫婦に育てられた彼女は、父親が残していった風景画を持ち、どこの風景が描かれたのかを探すため、町中をふらふらしています。そこで付けられたあだ名は「ふらふら花歩」。

自分の両親について何も知らないことに対し、不安というか落ち着かない気持ちを持っている花歩は、せめて父親の見たであろう景色を同じように見てみたいと考えていました。

ふらふらしている彼女を、町の人たちは温かい目で見守っています。気軽に声を掛けて面倒を見る人たち。自分が見守られている、この町に育てられている、ということに気付いた花歩は、町に恩返しをしたいと考えるようになりました。

そこで始めたのが「名所案内」。自分で作った地図を片手に、宿泊客たちに名所を案内して回り、美味しい料理やお土産物なども紹介するようになりました。今で言う「ツアーガイド」みたいなものですね。


そんな彼女を中心に、大坂の町で起こる様々な事件や騒動などが描かれています。事件が起きると登場するのが千代太郎という、元は商人の息子だった奉行所の同心です。

花歩は幼馴染だった彼のことを「千代ちゃん」と呼び、その度に険しい表情で睨まれるのですが、彼女のお節介のお陰で解決することも多いため、うまく利用することもあるようです。

花歩はどうやら千代太郎に片思いしている様子。二人の関係もどうなるのか気になりますし、まだまだ話は書けそうな雰囲気。続きも出てほしいです。


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タグ:岡篠名桜
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