2013年03月21日

朝井まかて「ちゃんちゃら」

ちゃんちゃら

 朝井まかて 著
 「ちゃんちゃら」
 (講談社文庫)


江戸・千駄木町の庭師一家「植辰」で修行中の元浮浪児「ちゃら」。酒好きだが腕も気風もいい親方の辰蔵に仕込まれて、山猫のようだったちゃらも、一人前の職人に育ちつつあった。しかし、一心に作庭に励んでいた一家に、とんでもない厄介事が降りかかる。青空の下、緑の風に吹かれるような、爽快時代小説!−裏表紙より−


この作家さんの作品は2作目。以前読んだ作品は面白かったのですが、突然、話を終わらせてしまったのが残念で、今回も終わり方に不安を感じながら読み進めました。

・・で、不安的中。ある意味ハッピーエンド的ではあるのですが、もっとさわやかに、すべてを丸く収めて良い人みんなハッピー!で終わってほしかったです。


主人公は“ちゃら”という名前の庭師見習いです。元々、身寄りもなくたくさんの悪事を重ねながら生きていた彼が、「植辰」という庭師の辰蔵に拾われて育てられました。そして、庭師の仕事を手伝いながら、少しずつ彼自身も庭師として成長しています。

彼には、元来備わっている高い身体能力があり、そのお陰で高い木にもスイスイ身軽に登っていくことができます。

短気な所があり、少々問題はありますが、みんなからかわいがられているようです。特に、共に育ったともいえる辰蔵の娘・お百合とは何でも言い合える気の置けない関係です。


ある日、いつものように庭を手入れしていたところ、嵯峨流という謎の流派の白楊という人物がちゃらの前に現れました。そして、ちゃらを挑発するようなことを言い始め、カッとしたちゃらが取った行動で話が大きく進展します。

それ以来、何かにつけて妨害を繰り返す白楊に、植辰はどんどん追い込まれていきます。


庭師の仕事について色々知ることができましたし、庭やそこに植えられる植物や置かれる石、引かれる水の流れなど、文章で書かれているのに写真のように思い浮かべられるのはすごいと思いました。

出てくる人物たちもそれぞれ魅力的というか、キャラが濃くて面白く、悪役は悪役らしく、善人は善人らしいのも心地よかったのですが、そんな空気をひっくり返すような展開が待っていたのがショックでした。

前半をこんな平和な感じで進めるのであれば、最後も「正義は勝ち、悪は滅びる」という定番な展開が良いと思うのですが・・。

やっぱり残念な結末でした。


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タグ:朝井まかて
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