2013年03月11日

西條奈加「金春屋ゴメス」

金春屋ゴメス

 西條奈加 著
 「金春屋ゴメス」
 (新潮文庫)


近未来の日本に、鎖国状態の「江戸国」が出現。競争率三百倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。身請け先は、身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった! ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は−。「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。−裏表紙より−


表紙のインパクトの強さに、手が出せずにいた本。でも「烏金」シリーズが面白かったので読んでみることにしました。

紹介文によると「日本ファンタジーノベル大賞」だとか・・。あらすじでは時代小説っぽいのに、どういうことだろう?と思いながら読み始めました。

まず舞台設定が近未来。月にも人が住むような時代のようです。でも、「江戸」の町での話なんです。

日本の中に「江戸」という国があるという設定。しかも鎖国状態で簡単に入国できません。当選率の低い抽選に当たる必要があり、更には様々な条件や検査をクリアしないと入れません。

なぜそんなに競争率が激しいのか、気持ちがわからなかったんですけどね。便利な世の中で生きてきた人たちが、急に不便な江戸時代に行ったって楽しいとは思えないです。


江戸国では、時代劇などでよく見かけるような町が再現されていて、住んでいる人たちの格好も、言葉遣いも、生活の仕方も江戸時代のまま。なので、入国する際には、機械類や現代の薬、合成樹脂や合成繊維など、江戸時代には無かった物や自然には無い物は持ち込めません。

そんな国ですから、流行病が発生してもその当時の医療や薬で治す必要があるわけです。


辰次郎は、実は江戸国で生まれたという経歴の持ち主。彼には江戸国で流行した病から完治したという過去があるため、江戸国からその秘密を探るべく呼び寄せられます。今、江戸国で同じ流行病が発生してしまったのです。

「鬼赤痢」と名前の付けられたその病にかかると、全員が死亡してしまうという難病。特効薬も見つからないため、辰次郎が過去にどうやって治したのか?その方法を思い出すよう迫られます。

彼にそんな難題を吹っかけたのが、表紙の絵にもなっているすごい容姿のゴメス。実は長崎奉行だというゴメスから震え上がるほどの迫力で迫られ、何とか思い出そうと生まれた村へ向かいます。


ゴメスは、表紙からもわかるように、とても濃いキャラをしています。実は中身は良い人っぽいのも素敵でした。ゴメスには笑える秘密もありますが、それは読んだときのお楽しみ・・ということにしておきます。

ゴメスだけではなく、手下たちも面白い人が多くて、魅力的でした。主人公・辰次郎のことはそこまで好きにはなれなかったのですが・・。

一瞬、舞台設定に戸惑ったのですが、すぐに話に引き込まれ、一気読みしてしまいました。

続編があるようなので、ぜひ読もうと思います。



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posted by DONA at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:西條奈加
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