
小池昌代 著
「弦と響」
(光文社文庫)
結成から三十年、鹿間四重奏団がラストコンサートを迎える。最後の演奏に向けて、さまざまな人の思いが交錯する。四人のメンバーを始め、舞台を支える裏方、客席の聴衆・・・、それぞれの視点で語られる特別な一夜。終演後のホールに漂う残響と、外で降りしきる雪の静けさが、カルテットの終焉をもの語る。極上の音楽を聴いた後のように、心地よい余韻に浸れる秀作。−裏表紙より−
面白い構成の話でした。
連作短編のようになっているのですが、1話ごとに主役となる人物が違います。
しかも、主役となった人物の視点で話が進むのではなく、それぞれが独白するような、インタビューに答えるような形になっています。
主役となる人たちは、みんな鹿間カルテットの関係者。メンバーだけではなく、スタッフや記者までがラストを迎えるカルテットへの想いを語ります。
まずはメンバーの妻から始まります。引退を決心した最年長の男性の妻で、夫に対してどんな想いを抱いているかを語ります。
とても淡々と語られるので、夫に対して愛情があるのか心配になるくらい。
でも他の話を読むと、全員がこんな感じなので、全体的に淡々と進むんですよね。
個人的には、登場人物が思いを語る・・という形式はあまり好きではありません。なので、私には合わない話でした。
ただ、最後の一話だけは、誰が語るわけでもなく、カルテットのラストコンサートの様子が描かれていたので、面白かったですし、演奏の様子や会場での雰囲気が浮かんでくるようでした。
途中で止めずに最後まで読んで良かったです。
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