
冲方丁 著
「天地明察 上」
(角川文庫)
徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。−裏表紙より−
普段、歴史小説をあまり読まないですし、あらすじを読むと“算術”と書いてあって不安になったのですが、読み始めると一気に話に引き込まれました。
確かに算術について色々と書かれているので、私には理解できていない部分も多かったのですが、理解できていなくても十分楽しめました。
主人公・春海が出会った難問を「関」と名乗る人物が瞬時に解いたことを知り、軽い嫉妬に似た感情を抱きます。関に興味をもった春海は、自ら問題を作って挑戦しようとします。
数日かけて考えた問題は、春海にとって最高傑作と思える出来の物でした。ところがその問題に欠点があったことがわかり、苦悩することになります。
自分が考えた誤問について後悔していたとき、春海が仕える人物からある重大な任務を任されることに・・。それは暦を考える上でとても重要な意味を持つプロジェクトで、日本各地へ行って、北極星の位置を測って記録するという物でした。
建部、伊藤という2人の専門家と共に旅に出た春海は、2人の人柄や考え方にどんどん惹かれていきます。彼らの壮大な夢を聞かされた春海は、彼らにその夢の実現を誓います。
春海が苦戦した難問はもちろん、誤問となった問題の意味もはっきり言って全くわかりませんでした。星の観測の場面でも詳しい部分までは理解できていないと思います。
それでも、春海が惹かれた2人の人物に私も惹かれてしまいましたし、最後には春海と共に涙してしまいました。
上巻ではまだ暦作りは本格化していません。下巻で仕上げると思うので、どんな困難や幸福が待っているのか、楽しみに読むことにします。
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