
加納朋子 著
「レインレイン・ボウ」
(集英社文庫)
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦・・・。彼女たちは傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていく―。ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、さわやかな青春群像劇。−裏表紙より−
「七人の敵がいる」の陽子の独身時代の話が読めるというので読んでみることにしたこの作品。読み始めてすぐもう一人懐かしい名前を発見しました。「月曜日の水玉模様」の陶子です。知っている人物が出てくるだけでちょっとうれしくなりますね。
渡辺美久が昼食の用意をしているときに高校時代のソフトボール部仲間だった片桐陶子から電話がかかってきました。彼女が「チーズが死んだわ」という一言で、この話は始まります。
そして、チーズこと牧知寿子の通夜に集まったソフトボール部員たち。片桐陶子、小原陽子、渡辺美久、善福加寿美、坂田りえ、三好由美子、井上緑、長瀬理穂の8人・・のはずが、一番チーズと親しかった理穂はなぜか来ませんでした。
高校を卒業して7年経ち、25歳になった彼女たちが、今どんな人生を送り、どんなことを考え、どんな悩みをもち、どんな環境で毎日を過ごしているのかを、それぞれにスポットを当てて1話ずつ描かれています。
結婚し子どもを育てる専業主婦になっている美久の「サマー・オレンジ・ピール」、陽子の「スカーレット・ルージュ」、保育士になっている加寿美の「ひよこ色の天使」、看護師になっている緑の「緑の森の夜泣き鳥(ナイチンゲール)」、まだ自分に人生を決められず無職のままでいるりえの「紫の雲路」、栄養士としてある会社に派遣され社食の調理をしている由美子の「雨上がりの藍の空」、OLになっている陶子の「青い空と小鳥」という7編で構成されています。
題名も綺麗で、全てを合わせると虹になる・・なぜこんな題名を付けたのか?は最後にわかるようになっています。
7話の短編を通して語られるのは、彼女たちそれぞれの人生と、亡くなったチーズのこと。そして、一番親しかったはずなのに通夜に来なかった理穂のこと。
それぞれの話は独立しているのですが、最後に綺麗にまとめられる。本当に「うまいなぁ

陽子と陶子だけではなく、他の人たちの今後の人生もぜひ読みたいと思いました。姉妹本として出してもらいたいです。
きっと、同年代の女性なら共感できる部分が多いはず。私はもう遠い昔・・という感じですが、懐かしい気持ちで読めました。まあ、高校時代のことなんてさっぱり思い出せませんけど。
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