2012年06月13日

加納朋子「七人の敵がいる」

七人の敵がいる

 加納朋子 著
 「七人の敵がいる」
 (集英社文庫)


編集者としてバリバリ仕事をこなす山田陽子。一人息子の陽介が小学校に入学し、少しは手が離れて楽になるかと思ったら−とんでもない!PTA、学童保育所父母会、自治会役員・・・次々と降りかかる「お勤め」に振り回される毎日が始まった。小学生の親になるって、こんなに大変だったの!? 笑って泣けて、元気が湧いてくる。ワーキングマザーの奮闘を描く、痛快子育てエンターテインメント。−裏表紙より−


女は女の敵である」「男もたいがい、敵である」・・という題名が付いた短編が7編あります。つまり7人の敵が登場するということですね。

女同士、夫、義母義家族、男性、先生、子ども、会長・・・7人の敵を相手に、息子のためにがんばる母親の話です。


山田陽子は、編集者としてフルタイムで働きながら、小学生の息子を育てている母親です。夫も働いているけど時間に融通が効くときもあるし、義母も元気で子育てを手伝ってくれるし、息子も小学生になって、やっと楽になる・・と思っていたのですが、小学生になるとPTAという物があったのです。

初めての保護者会に参加した陽子は、あまりにも実りの無いその集まりに呆然としてしまいます。「何か意見はありませんか?」と教師から聞かれても何も発言をしようとしないお母さんたちに憤り、思わず立ち上がって発言してしまった陽子。「仕事を持つ私のような親には保護者会役員なんて無理。専業主婦の人にやってもらうしかない」と言ってしまいます。

その場にいた専業主婦たちを一気に敵に回してしまった陽子でした。


このようにして、まあ自分から敵を作ってしまう部分もかなり多いわけですが、陽子の言い分もわかるんですよね。子育てしながら働いたことがないのによく言うわ!って突っ込まれそうですが・・。

陽子はくだらない内容の話し合うような時間を無駄にすることを嫌います。そんな時間があるなら自分の息子との時間を持ちたい・・と思っています。それって誰もが思っていることですよね。ただ、波風を立てたくないから発言しないだけ。みんなを代表して言ってくれているような所もあって、読んでいて「よく言った!ぴかぴか(新しい)」とすっきりすることもありました。まあ「専業主婦がやればいい」は賛成できかねますが。


PTAというと、女性ばかりの集まりになることにも陽子は疑問をもっています。私もそう思います。それこそ専業主婦で、介護とかも無い人ならともかく、同じように仕事をしているのであれば、父親が参加しても良いと思うんですよね。なぜ何でも母親任せなのか・・。もっともっと協力が必要です。

女性ばかりの集まりになると、確執も生まれやすいですしね。女性ばかりの職場にいた私には思い当たることが山ほどありました。会議では言いたいことを言わずに陰では文句ばかり言う人、発言しないくせに「私のやりたいことを察してよ」と思っている人、本当にたくさんいました。私もそういう所が全く無いとは言いませんが、陰で言うくらいならなるべく会議で言おうとしていました。言い方も難しいので、面倒に感じることもありましたが。


無報酬、つまりボランティアで「子どもの為」というだけの理由でがんばってくれているPTAの人たちは本当に大変なんだと改めて知ることができる内容でした。もっといい方法は無いのかな?本当に思います。古い体質も改善しないと活動自体が続いていかないと思いますね。


この陽子の学生時代の話もあるとか・・。また探して読んでみようと思います。


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posted by DONA at 11:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:加納朋子
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