
サラ・ッパレツキー 著
山本やよい 訳
「アンサンブル」
(ハヤカワミステリ文庫)
新聞の尋ね人広告をきっかけにヴィクが亡き母親の真実を探る「追憶の譜面」、売れっ子の女性作家との確執が思わぬ事態を招く「売名作戦」、行方不明のカメラマン探しの裏に潜む謎を追う「フォト・フィニッシュ」など、人気のV・I・ウォーショースキー・シリーズをはじめ、ユーモア作品や異色のサスペンスまで、著者の多彩な才能がいかんなく発揮された全10篇を収録。本邦初訳作品もまじえて贈る待望の日本オリジナル短篇集。−裏表紙より−
「追憶の譜面」「売名作戦」「フォト・フィニッシュ」「V・I・ウォーショースキー最初の事件」「命をひとくち」「スライドショー」「フロイトに捧げる決闘」「偉大なるテツジ」「分析検査」「ポスター・チャイルド」が収録されています。前半4作品はV・I・ウォーショースキーシリーズの作品です。
初めに「三十周年に寄せて―日本の読者のみなさまへ」として、作者・サラ・パレツキーからのメッセージが書かれています。ヴィクシリーズのファンならこれだけでも読んでよかったと思える内容だと思います。
短編の内容としては、ヴィク作品はやはり外れの無い面白さでした。
「追憶の譜面」では、いないと思っていた親戚がまた見つかるかも・・ということでちょっと期待してしまうヴィク。ファンとしては「どうせまた何か裏があるに違いない」と疑ってしまうのですが、ヴィクはしばらく意気投合してしまいます。まあいつものように早めに疑い始めるんですが。亡き母親には今でも頭が上がらないヴィクの様子が微笑ましいような作品になっています。
「売名作戦」は、ケンカっ早いヴィクの様子が描かれています。ファンとしては「またヴィクの嫌いなタイプの女性が現れた!」って感じなのですが、やっぱり揉めてしまいました・・。
私が特に気に入ったのは「V・I・ウォーショースキー最初の事件」です。ヴィクの子ども時代の様子が描かれている作品で、昔から今の様子がうかがえるような行動力溢れる、怖いもの知らずの子どもだったんだと思うと、にやけて仕方ありませんでした。
ヴィクシリーズ以外では、後味の悪い物もありますし、「そうきたか!」とオチに笑える物もありました。最後の作品では、ヴィクシリーズにも出てくるフィンチレー警部補も登場し、ヴィクの名前も出て来て、ファンには嬉しい作品になっていました。
あとがきに、9月頃にヴィクシリーズの新作が出ると書いてありました。楽しみです!!
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とは言え、ヴィクシリーズも最初から読み直しているので、両方とも、読むのはいつになるかわかりませんが…。
ホント、パレツキーはがんばってくれています。一時期、なかなか新刊が出ないときがありましたけど、最近は次々と出版されるので嬉しいです。前作よりも分厚いらしく、それだけが心配ですが・・。