
ジェシカ・ベック 著
山本やよい 訳
「午前二時のグレーズドーナツ」
(コージーブックス)
午前二時にスザンヌのドーナツ作りは始まる。ダウンタウンの端っこにある、ここ<ドーナツ・ハート>は手作りドーナツとコーヒーの店。深夜から始まる仕事は大変だけど、大切なお客さんのためならなんのその。ところがその日、平和な暮らしが一転。看板の照明をつけようとしたところ、夜の闇にまぎれて店の前に死体を投げ捨て走り去った一台の車が! 被害者はお店の常連客で、銀行員のパトリック。いったい誰がこんなひどいことを? スザンヌは無料のドーナツを片手に捜査を開始。美味しいドーナツに思わず口がゆるんだ人々から明らかになっていく真相とは・・・!? ドーナツが思わず食べたくなる、まるくて最高に美味しいシリーズ第一弾!−裏表紙より−
今年4月から原書房から創刊された新しい文庫レーベルだそうで、最近かわいい表紙の本が平積みされているのを見かけて気になっていました。
特にこのドーナツの絵!

毎日午前一時半に起きて、二時に店へ行きドーナツを作って、五時半に開店するという、恐ろしい生活をしているスザンヌ。もう少し遅く開店したらどうだろう?そんなに早く開店させる意味はどこに?とそればかりが気になってしまいました。結局、特に説明もないまま進むのですが・・。まあ、昼には閉店するんですけど、アメリカって3時のおやつ的な物が無いのか??・・謎です。
いつものようにドーナツ作りを始めようと照明を点けたとき、店の前に死体が投げ捨てられました。第一発見者、そして唯一の目撃者となったスザンヌは、事情聴取されます。自分の店の常連客で、しかも親しかった人物が殺害されたことで、事件を解決させようとするスザンヌ。売れ残ったドーナツを持って聞き込みに回ります。
自分自身では真相に近づいているとは思わないのに、犯人らしき人物から脅迫電話まで受けるようになり、ますますやる気になりました。
スザンヌには、離婚した夫がいます。彼の方はまだまだ未練があるようで、しつこく彼女に付きまといます。そんな彼を疎ましく思いつつも、彼女もちょっと心が揺れたりして、もどかしい状態にあります。でも彼女もやっと新たな恋が出来そうな雰囲気になりました。
話の前半は、登場人物たちの人物像がうまくつかめず、話に入り込めない感じがしました。主人公自身のことも、元夫との関係も、周りの人物のことも、主人公との関係がわかりにくかったんですよね

特に、殺された人物とは親しい間柄だったようなのですが、ほとんど何も知らないのが気になりますし、あまり悲しんでいるように見えなかったのも気になりました。事件に首を突っ込むのも、興味本位な感じでしたし・・。
コージーにありがちな感じで、ほぼ真実に辿りついていないのに、犯人自身が墓穴を掘って捕まる・・というパターンで終わったのも残念でした。もうひとつどんでん返しがあっても良かったかも。でもまあ、コージーは謎解きを楽しむよりも、出てくる人たちや食べ物なんかを楽しむものですから、これで良いんでしょうけど。
色々書きましたけど、読み終わったとき・・というか、後半からは面白いな〜と思ったんですよね。それはやはり登場人物たちに好感を持ち始めたからでしょうけど。まだまだ人物像が掴み切れていない感じはありますが、シリーズを読み進める毎にわかってくるんでしょう。それも楽しみです。
巻末にはドーナツのレシピが付いています。シナモンやナツメグなんかが入っていて、私は作らないと思いますが、ちょっとお得なシリーズです。
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