2012年05月15日

柴田よしき「いつか響く足音」

いつか響く足音

 柴田よしき 著
 「いつか響く足音」
 (新潮文庫)


かつては理想郷、今となっては古臭いだけのこの団地。借金まみれのキャバ嬢に、息子夫婦から絶縁された老女。猫に執着するカメラマンや、多額の保険金を手にした未亡人。みんな孤独で、寂しくて。どこで道を間違ったのだろう?あの甘やかで、温かな場所に帰りたい−。それでも他人同士が肩寄せ合う空間は、なぜだかとても心安らぐ。「共に生きる」意味を問う、感涙の連作小説集。−裏表紙より−

「最後のブルガリ」「黒猫と団子」「遠い遠い隣町」「いつか響く足音」「闇の集会」「戦いは始まる」の6話収録されています。


ある団地の住人が主役となってそれぞれの話が語られます。出てくる住人は、キャバ嬢・朱美、その友人・絵理、食事を作って配るおばさん・里子、保険金を手にした未亡人・静子、カメラマン・克也、家庭を顧みなかった・仲島の6名。

まず出てくるのは朱美の部屋に転がり込んだ絵理です。彼女はカードを使いすぎて多額の借金を抱えて逃げて来ました。学生時代に知り合いだった朱美と偶然出会って「うちに来たら?」と誘われました。そんな風に声を掛けてくるということは、朱美は絵理に好意を持っているのか?と思ったら、そうではありませんでした。

それは次の話で明らかになります。嫌いではないけど、ハッキリ言ってどうでもいい存在・・という感じ。絵理が我儘な女性に感じていたのですが、この話で私のイメージが逆転しました。

そして3話目では、1話目から登場していた肉じゃがを持ってきたおばさん・里子の人生が語られます。彼女は息子の嫁とうまくいかず、夫にも先立たれ、寂しい毎日を過ごしています。亡き夫や息子のために磨いた料理の腕を生かして、大量にに物を作っては住人に配るのです。配らずにはいられない、自分の存在価値が見出せない、そんな女性です。

里子が料理を配る住人のうちの1人でもある静子が4話目の主人公。彼女も波乱の人生を歩んできました。そして2人の息子がいながらも、寂しい生活を送っているのです。

5話目では団地の敷地内で猫の写真ばかりを撮っているカメラマン・克也の人生が語られます。なぜ彼は猫の写真を撮るのか?その理由が明かされます。そして、ちょっとした秘密も。

最終話では、絵理の借金問題をどうするか?を住人たちが集まって話し合うことになり、そこで仲島という男性が登場します。彼はなかなかしっかりした意見を出し、絵理のことを救おうとします。彼の人生も少しですが語られます。


話に出てくる人たちはみんな孤独で、自分の人生はどこで間違えてしまったんだろう?と後悔しながら生活しています。そんな話ばかりですから、全体的に暗い雰囲気が漂う作品でした。

人生って、先が全くわからない物なんだ・・と改めて思い知らされるような話で、今ある程度幸せだからといって手を抜いてはいけない、もっと一生懸命に生きなければ!と決心したくなりました。


エピローグで、ほんの少し光が差してきた感じがしたので、暗い気持ちのまま終わらずに良かったです。


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 11:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書:柴田よしき
この記事へのコメント
本屋で見かけて読んでみようかと思ったのですが、柴田さんは私の中では落差が激しいので
悩んでやめにしました。
DONAさんの感想を読んでやっぱり読んでみようかな?
Posted by チャウ子 at 2012年05月16日 10:15
>チャウ子さん、コメントありがとうございます。

う〜ん、この作品どうですかね??ちょっと暗いかもしれませんけど・・。
Posted by DONA at 2012年05月16日 20:02
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/55863300
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック