
今野敏 著
「夕暴雨 東京湾臨海署安積班」
(ハルキ文庫)
東京湾臨海署管内で大規模イベントへの爆破予告がネット上に流れた。安積警部補率いる班と相楽班は警戒警備にあたるが、爆破は狂言に終わる。だが再び、翌週のコミックイベントへの爆破予告がネット上に書き込まれた。前回と違う書き込みに、予告の信憑性を訴える須田刑事。須田の直感を信じた安積は、警備の拡大を主張するが、相楽たちの反発をうけてしまう。迫り来るイベント日。安積班は人々を守ることができるのか?異色のコラボが秘められた大好評シリーズ、待望の文庫化。−裏表紙より−
久々の安積班シリーズ!

東京湾臨海署は、新庁舎に引越することになりました。広くなって綺麗になって本当なら喜ぶべきところなんですが、安積はちょっとさみしいと感じています。外階段で部屋に戻るときに時々感じていた潮の香りを懐かしんだり、駐車場から庁舎までの距離を感じたり、上司と話をするにも内線電話が必要になったことを嘆いたり・・。
何よりも強行班係が増えて2つの班で構成されるようになったことは、安積にとっても大きな変化でした。しかももう一つの班を仕切るのが、宿敵とも言える相楽。安積の方はなるべく気にしないようにしているのに、相楽の方はライバル視しまくり!周りも「負けるな、安積!」という雰囲気ですし、安積にとっては迷惑な話です。
そんなゴタゴタの中起きた爆破予告。一度は狂言に終わったのですが、二度目の予告がネットに書きこまれたのを見た須田刑事は「今度は本物だ」と言いだします。ネットをいつも見ている人にはわかる・・というあまりにも曖昧な須田の発言を信じた安積は、上司に進言して、警備を強化させました。もちろん、自分たちも傍観せずに警備に当たります。
相変わらず署内のパトロールを欠かさない速水も、爆破予告されたイベントに安積の娘が参加することを知り、協力してくれます。速水は、爆破予告だけではなく、新たに警視庁に設けられた警備部特車二課の存在が気になっているようで、あまりにも秘密主義なこの組織にいら立っています。
あらすじに書かれていた“異色のコラボ”というのがこの警視庁警備部特車二課のことです。「機動警察パトレイバー」という作品の中に出てくるそうで、これを登場させたようです。私は全く知らなかったので、出て来ても何の感動も無かったんですけどね・・

安積班のメンバーたちも相変わらず適材適所な活躍をみせてくれます。今回は黒木も発言が多くて、須田だけではなく安積都も良いコンビネーションを見せてくれました。
今回、娘との関わりも少なく、元妻に至っては全く出てこなかったのが残念ではありますが、とても面白く読み終わりました。
早く次も文庫化してほしい!!再読を繰り返しながら待つことにします・・。
<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
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