
朝井まかて 著
「花競べ 向嶋なずな屋繁盛記」
(講談社文庫)
花競べ―最も優れた名花名木に与えられる称号・玄妙を目指し、江戸中の花師が育種の技を競い合う三年に一度の“祭”。恩ある人に懇願されて出品した「なずな屋」の新次は、そこでかつて共に修業した理世と再会する。江戸市井の春夏秋冬をいきいきと描く傑作「職人小説」。−裏表紙より−
“花師”というのは、花の種や苗を作ったり、品種改良をしたり、花を育てて売ったりする職人のことです。
新次は職人らしく頑固な所もありますが、花を愛して育てる気持ちは誰よりも強く、花のこととなると周りが見えなくなるくらい没頭してしまいます。そんな彼を支えるのが妻・おりん。彼女は新次の育てた花に「お手入れ指南」(水のやり方や置き場所などを書いた紙)を付けることを思いつきました。
そんな努力もあり、人気の店になっています。そして、花競べに出品することになります。・・どんな結果になったのか?は書きませんが。
新次・おりん夫妻には子どもがいません。知人から預けられた子ども・雀を育てることになり、彼との生活は二人に潤いと幸せを与えてくれました。
また、偶然知り合った太物問屋の隠居・六兵衛との縁も二人に様々な出会いをくれました。
花や夫婦の関係を通して、命の大切さや尊さなどもテーマになって物語は進められ、考えさせられることもありましたし、夫婦の関係が微笑ましく、花師の仕事も興味深く、雀のかわいらしさもあり、とても楽しく読み進めました。
きっと1冊で終わらず、シリーズになって続きも出るんだろう・・と思っていたのですが、とてもあっさりと後日談(というか、数年後)が書かれ、どうやら終わってしまったようです。
終わり方はどうにも納得できず、それまでが面白かっただけにとても残念です。
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