
矢崎存美 著
「ぶたぶた」
(徳間文庫)
街なかをピンク色をしたぶたのぬいぐるみが歩き、喋り、食事をしている。おまけに仕事は優秀。彼の名前は、山崎ぶたぶた。そう、彼は生きているのです。ある時は家政夫、またある時はフランス料理の料理人、そしてタクシーの運転手の時も。そんな彼と触れ合ったことで、戸惑いながらも、変化する人たちの姿を描く、ハート・ウォーミング・ノベル。大人気≪ぶたぶた≫シリーズの原点、登場!!−裏表紙より−
14年前に登場していたぶたぶたさん、1作目が再版されました。ずっと探していたこの1作目、どこにも置いていなくてもう諦めかけていたとき、再版されました!!

最近は光文社文庫から発行されているのですが、これは徳間文庫です。光文社文庫の表紙よりも、よりぶたぶたさんらしさが出ている絵だと思います。どちらもかわいいですが。
なぜ私が1作目を探していたか?というと、ぶたぶたさんの存在が謎だらけだからです。なぜぬいぐるみなのか?なぜぬいぐるみが生きているのか?なぜおじさんなのか?などなど、気になることがいっぱいなんです。初登場の本を読めば、謎が解けるかな?と思ったんですが・・・。
残念ながら最近のシリーズと同じように、自然な感じで、もうすでに立派なぶたのぬいぐるみとして存在しているぶたぶたさん。街にも溶け込んでいる不思議な存在のまま。
ほんの、ほんの少し、謎が明らかにされている部分はありましたけど、やはり彼の存在は謎だらけ。でもまあ、よく考えたらその謎な状態が良いのかもしれません。それに「ぬいぐるみがなぜ生きているのか?」なんてことに明らかな答えがあるわけないですしね。
ぶたぶたさんはおじさんでぶたのぬいぐるみ。桜のような淡いピンク色で、ビーズの点目、耳が少し折れている、バレーボールくらいの大きさのぬいぐるみ。それを、登場人物たちのように自然に受け入れるしかないんです。受け入れられない人はこの作品は読めないわけで・・。
というわけで、1作目だから何かがあるというわけではありませんでした。それでも、やっぱりぶたぶたさんは素敵です。存在するだけで周りの人たちを幸せにしてくれる。
心が疲れたとき、殺人ばかりが起きるような本を読んだ後なんかに読むと、ほっこりできる作品です。
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