
大門剛明 著
「沈黙する証人 負け弁・深町代言」
(中公文庫)
深町が勤める負け組法律事務所に、ひき逃げ事件の容疑者が飛び込んできた。泥酔していたため記憶はないが、自分は運転しておらず無実だと訴える。相手は敏腕で知られる滝川検事。どう見ても勝ち目のない戦いなのに、松月所長は弁護を引き受ける。人の良さに呆れる深町だったが、松月の信念は事件の意外な真相を照らし出す・・・。−裏表紙より−
前作では実花の保護者状態でフワフワしていた松月所長が活躍を見せてくれます。
初めに依頼人の話を深町が聞いたときには、依頼人の有罪はわかりきっていて、この弁護を引き受けても負けることが決まっているような話でした。深町は断ったこの弁護の依頼を、松月所長は引き受けました。
あまりの人の良さに呆れる深町でしたが、所長は今までと違い、異常な冴えを見せて、容疑者の無罪を確信し始めたようで・・・。
別の弁護依頼で動いていた深町と、所長の事件が何か繋がりがあることもわかり、刑事事件は引き受けないつもりの深町も覚悟を決めて、所長の裁判を手伝うことになりました。
今回も深町弁護士の心の傷が少しずつ明らかになってきます。彼がなぜ、刑事事件の裁判を引き受けなくなったのか。思ったよりも深い傷だったのだとわかりました。
でも、所長の人柄や、スーパー事務員・和田さんの叱咤激励、実花の一生懸命さなどに影響され、深町が変わっていくのは良いことですし、今後もこのシリーズを読みたいと思わせる所です。
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