
池波正太郎 著
「剣客群像」
(文春文庫)
女武芸者の佐々木留伊が、夜の町に出没して[辻投げ]を行うのもつまるところは、男を漁り男を得、子を生み妻となり母となりたいがためのことなのである―という書き出しで始まる「妙音記」は、美しく強い女の人生の転機をユーモラスに描いている。他に、さまざまな剣客の姿を機智をもってとらえた7篇を収める。−裏表紙より−
久々に再読してみました。この作家さんの作品はスラスラと読めて、何度読んでも面白いです。
様々な剣客が出てきて、それぞれの人生や考え方、信念、生き方をその人物の一生の物語として描いています。
「秘伝」では、ある道場に入門していた3人の剣客を描いています。3人はそれぞれ性格も全く違うのですが、腕を競い合って精進してきました。あるとき師匠が亡くなった際に遺した“秘伝書”が3人の人生を変えて行くのです。3人のどの生き方が良いとか悪いとかは読む人によって変わるでしょうが、それぞれに共感できる部分があり、静かに読み終えることができました。
「妙音記」で描かれているのは女剣客です。あらすじにも書かれているように、女性とは思えないほどの使い手のため、自分より強い男性以外には目もくれない女性です。ただ、母親になりたい気持ちは人一倍あり・・。
「弓の源八」は、ある出来事が原因で不器用な生き方しかできなくなった源八の話です。彼の不器用すぎる人生は痛ましいくらいでした。その人生も一人の女性によって変化するのですが、最後まで静かな静かな人生を送った彼の姿は感動的でした。
私が特に好きなのは「寛政女武道」という話です。元武士の娘だった女性が、自分との関係を相手の男性にばらされたことを怒り、男性に復讐を果たし自分も自害します。現代ならたかが男女の話・・と流せますが、この時代には軽々しく話してはいけないことでした。特に女性にとっては恥となり、不名誉なことでした。
それなのに軽々しく人に話し、更には他の人を引き連れて女性を襲いに来るなんて、どういう人なんだ!と怒りがわきます。そんな彼らを堂々と立ち合って討ち果たし、更には潔く自害するとは・・。彼女の強さに惹かれる話でした。
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いちばんの好みです。
かなり昔に読んだので、あらかた
忘れてますが、おもしろかったという
手触りというか感触はいまも
残ってますので、はい。
仇討群像も面白いですよね。私も遠い昔に読んだので薄っすらとした記憶しかありませんが・・。また読み直してみようと思っています。