
北森鴻 著
「瑠璃の契り」
(文春文庫)
魑魅魍魎が住まう骨董業界を生き抜く孤高の美人旗師・冬狐堂こと宇佐見陶子。目利きの命である眼を患った彼女を食い物にしようと、同業者がわけありの品を持ち込む。それは、不思議と何度も返品されてくる和人形だった―「倣雛心中」。他、表題作を含め全四編を収録した古美術ミステリーの人気シリーズ第二弾。−裏表紙より−
シリーズ第二弾と書かれているのですが、何だかどれが何番目なのかわからない状態です・・

今回の陶子は、ほぼずっとサングラスをかけています。飛蚊症(ひぶんしょう)にかかってしまったのです。目の前に小さな虫が飛んでいるように見える現象だそうで、目のために光をさえぎるようにしています。
骨董品を見定めるには、当然視力は必要です。もちろん視力だけではなく、物を見定める能力も必要なわけですが、そのためにはまず「見る」必要があるわけで。そんな大事な目を病んでしまった・・。旗師としては致命的ともいえます。
陶子は、同業者にバレないように注意していたのですが、気づけば噂が流れてしまいます。そんな彼女に対して兆戦をするかのように、怪しげな品物が持ち込まれるようになりました。
この本には2話で人形が取り上げられています。そのどちらもちょっと怖いというか、ゾクッとする何かがありました。
和人形ってちょっと怖いイメージがありません??「髪の毛が伸びる・・」とか、目が動いた・・とかいう話がつきまとう感じがして

出てきた2体の人形には、作り手の怨念が込められていて、本当に怖かったです。ある角度から見ると睨んでいるような表情になる人形、首を絞められたような跡が残る人形・・想像しただけでもぞっとします。
人形だけではなく、他の2話で取り上げられる絵とガラス工芸品にも作り手の想いが込められていて、すごい重みを感じました。ただの「物」ではない感覚・・。
だからといって、そのために大金を出したり、更には人まで殺す気持ちは全く理解できませんが。
このシリーズ、順番がよくわかりませんが、とりあえず全部読んでみようと思います。
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