
長岡弘樹 著
「傍聞き」
(双葉文庫)
患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る「迷走」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる「傍聞き」。女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行動が意想外な「899」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。表題作で08年日本推理作家協会賞短編部門受賞!−裏表紙より−
題名は「かたえぎき」と読みます。直接言われたことよりも、他人同士が話していることを漏れ聞いた方がより本当らしく聞こえる・・という意味だそうです。
この表題作も面白かったですね〜。刑事である母親と小学生の娘という母子家庭の話なんですけど、始めのうちはこの娘がかわいくなくて、イラッ

「そうか、そうだったのか」・・これが、この短編集の全ての話に通じる私の感想といえるかもしれません。それぞれの話で不可解な行動を取る人物が登場し、周りは意味がわからず混乱する状態になります。そして、最後にその行動の意味が明確にされ「そうか、そうだったのか」になるわけです。
しかも、心温まる話ばかり(「迷い箱」だけはやりきれない気持ちになりますが・・)。
私が特に気に入ったのは「899」です。消防士が隣に住む女性に恋する所から話は始まるのですが、自分の玄関から隣の様子を窺う所では思わず「ストーカーの話か!?」と思ってしまいました。心が汚れてます・・私

一つ一つの話は短いですし、ページ数も少ないのであっという間に読んでしまえます。でも中身は濃い。とても充実した時間を過ごした気がしました。
この作家さんの他の作品も読んでみようと思います。
↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。


タグ:長岡弘樹