2011年11月08日

宮部みゆき「火車」

火車

 宮部みゆき 著
 「火車」
 (新潮文庫)



足を撃たれリハビリのため休職中の刑事・本間は、亡き妻の親戚に頼まれて彼の失踪した婚約者・関根彰子を探すことになった。調べを進めると、彼女が自分の意思で失踪し、徹底的に連絡を絶っていることがわかってきた。やがて、彼女の生い立ちや人生にも秘密があることがわかり、実は関根彰子とは違う人物だということが明らかになる・・。


ドラマ化されるのを知って読もうと思ったこの作品。評判をみてみると、どうも賛否両論みたいでとても不安でした。私自身、昔この作家さんの本を読んで合わなかったこともあった(今となってはどの本を読んだかも忘れてしまいましたけど)ので、余計に心配しながら読み進める感じでした。

始めのうちは何度も男性作家が書いているような気がして(男性が主人公だからということもあり)どうも読みにくかったのですが、後半になってくると魅力的な女性がたくさん出てきて、しかもタイプがそれぞれ違っていて、その描写を読んでいるうちに「これは女性ならではの視点だな」と思えるようになってきました。


失踪した関根彰子という女性を探しているうちに、重大な秘密を知ってしまう本間。唯一残っていた写真を関係者に見せると「違う人だ」と言われたのでした。そこで今度は“関根彰子”と名乗って、親戚と婚約したこの女性の正体を探ることになります。

彼女の過去を探るために、本間は関根彰子の人生も遡り調べを進めていきます。どうして彼女は関根彰子の人生を乗っ取ることにしたのか?彼女はどこにいるのか?本物の関根彰子はどこにいるのか?・・調べを進める度に出てくる謎。


とてもページ数の多い本で、これって必要かな?と思うような場面もあるのですが、読み終わってみるとやっぱり必要だと感じました。謎の女性の人生を知る上で重要なこと。

依頼してきた親戚に「もう探すな」と言われたにも関わらず捜査を続けた本間が、自分がなぜ彼女をいつまでも探し出そうとしているのか?と疑問に思い、自分自身に問う場面があります。その理由を「彼女に会ってなぜこんなことをしたのかと尋ねてみたい。彼女の答えが聞きたい」からだと明かすのですが、それを読みながら思わず大きくうなずいてしまうくらい、私自身も彼女にどんどん興味がわいてきてました。

ラストは・・・とても中途半端な終わり方をしています。もっときちんと最後まで書いてほしいと思う人もいるでしょう。でも私はこれで良かったんじゃないか?と思うんですよね。これでもう彼女は1人で苦しまなくても良いんだ・・と何だかホッとしたんです。彼女の人生に寄り添いすぎたのかもしれません。

犯罪を犯した彼女ですが、どうしても同情せずにはいられなかったんです。もちろん被害者に対してもかわいそうだと思いますし、なんでこんな目に合わないといけないんだ!と怒りも湧くのですが、彼女だけを責める気になれないというか・・・うまく言葉にできませんが。

途中、涙しながら読み終え、長かったけど、読んで良かったと思えました。

さて、ドラマはどんな風になっているのか?楽しみなような、不安なような・・。今夜見てみることにします。


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タグ:宮部みゆき
この記事へのコメント
どもども。たびたび遊びに来てます。ランキングも押してるよー。
「火車」は5年前くらいに読んで同じような感想を持ちました。普段の自分の考え方とは違うアングルで書かれていて、すごく新鮮だった覚えがあります。
犯罪者だけど、本当にかわいそう、と思って涙、涙。
日本ではドラマ化されるんですなぁ。

同じ作家の「孤宿の人」を最近借りて読んだけど、こちらも中盤あたりから涙、涙でした・・・。
Posted by いもーと at 2011年11月09日 09:54
細部は忘れてしまったんですが、
とっても面白く読んだことは覚えています。
宮部さんの作品では「火車」が一番好きです。
なんでこの作品で直木賞取れなかったのかと
憤慨した覚えも‥。
DONAさん、泣いてしまったんですね。
私にもそういう繊細さがあればと思いますが、
スルスルと読んでしまいました^^;
Posted by チャウ子 at 2011年11月09日 10:24
>チャウ子さん、コメントありがとうございます。

私もお気に入りの作品になりました。

私が泣いてしまったのは、偽の関根彰子が父親の死亡記事を探している場面です。その様子を見た夫から軽蔑の目で見られてしまうんですよね・・そこが涙無しでは読めませんでした。

繊細というか、疲れてたのかも??(苦笑)
Posted by DONA at 2011年11月09日 20:04
>いもーとさん

ランキング、ポチありがと!
Posted by DONA at 2011年11月10日 11:45
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