2011年10月18日

大崎梢「平台がおまちかね」

平台がおまちかね

 大崎梢 著
 「平台がおまちかね」
 (創元推理文庫)



明林書房に勤める新人営業マンの井辻くんは、慣れない仕事を一生懸命こなしていた。平台にたくさんの本を並べてくれて、素敵なポップまで飾ってくれている書店を見つけ、お礼を言おうと店長に声をかけたところ、なぜか冷たくあしらわれてしまった・・−「平台がおまちかね」他「マドンナの憂鬱な棚」「贈呈式で会いましょう」「絵本の神さま」「ときめきのポップスター」計5編収録


成風堂書店シリーズと似てはいますが、こっちの主人公は出版社の営業マンです。本屋さんで本を眺めていると、背広を着て黒い鞄を持った男性によく会います。店員さんと何か話していたりして・・。「そうか、あれが営業さんなのね〜」と納得。自社の商品を売り込むのは当たり前のことなんですけど、出版業界も同じようなことをしているんだ・・と今更ながら気づきましたあせあせ(飛び散る汗)


新人営業マンの井辻くんは、他社の営業マンなどから「ひつじくん」と呼ばれ、その一生懸命さが受けているようで、とてもかわいがられています。書店の人たちからは、前任者の吉野さんと比べられて悔しい思いもしているようですが。吉野さんはイケメンでしゃべりも上手いし気配りも出来る人。そんな人と比べられても困るでしょう。でも毎日がんばる井辻くんもとても素敵に思えました。

1編ずつに書店や出版にまつわる謎が出てきて、それを不器用ながら井辻くんが解決していく・・という形で話は進みます。どれも面白かったのですが、中でも私が気に入ったのは「贈呈式で会いましょう」や「絵本の神さま」です。ハラハラしますが、謎が解けていくと優しい気持ちになれるような、そんな柔らかい話です。


平台に並べてある本が移動する・・という不思議な出来事が起き、そのメッセージを読み説く場面があったのですが、本が何冊目に挟まれていたか?によって謎を解くんですよね。そのとき「上から何冊目」ではなく「下から何冊目」かを考えていました。上からだと売れたら位置がずれるから・・とか言うのですが「私、上からなんて買わない!」と思ったんですが・・。

普通、上から買うんですかね?私は必ず2冊目以降ですし、じっくり眺めてよりきれいな本を探すんですけどたらーっ(汗) だから結構順番が狂ってると思います。一番上にあった本は一番上に戻しますけど、他はあまり考えずに戻すので・・バッド(下向き矢印) 私が買った後ではこのメッセージは作れないな〜ふらふら


謎解きも面白かったですけど、それ以外の部分(書店や出版社の裏側みたいなこと)を知ることができたので、読んで良かったと思える作品でした。

また続きが文庫化されたら読もうと思います。


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posted by DONA at 11:22| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書:大崎梢
この記事へのコメント
このシリーズは意外とハマってしまいますね!
いつも穏やかに読めるところが気に入っています。

穏やかというのは、血なまぐさくなく、特別な悪人や変な人が出て来るでもなく、という意味です。。
Posted by mizzo at 2011年10月19日 21:49
>mizzoさん、コメントありがとうございます。

そうですね。猟奇的なことがなくて、でもちょっと深い謎だから謎解きも楽しめて良いですよね。

私も気に入りました。次の文庫化も楽しみです。
Posted by DONA at 2011年10月20日 11:02
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Tracked: 2011-10-19 21:50