
矢崎存美 著
「ぶたぶたさん」
(光文社文庫)
わたしは10年前、一人旅をしたときに幻を見た。それは「山崎ぶたぶた」という名前のぬいぐるみ。彼は一人旅のわたしを心配して電話番号を教えてくれた。−「ぶたぶたさん」他「角の写真館」「ボランティア」「最強の助っ人」「新しいお母さん」など計11編収録
読む数が増える毎に初めの衝撃は薄れていくわけで、初めほどのワクワク感はありませんでした。今回の話一つ一つが短かったのもあるのかな?とは思いますが。
一人旅をしたわたしに「何かあったら電話してきて」と親切に番号を教えてくれたぶたぶたさん。でもずっと電話できずにいました。10年経ってふと見つけた番号に電話してみたのでした。覚えていないだろうと思ったのに、電話の向こうからは「覚えていますよ」という優しい一言が・・。
本当に短い話なのに、ぶたぶたさんらしくふんわりとした雰囲気に包まれるようでした。
「角の写真館」には、ぶたぶたさん本人は出てこなくて、写真だけです。なのにすごい存在感でした。動いたり話したりしなくても人に影響を与えるなんてすごいです。
私のお気に入りの話は「新しいお母さん」幼稚園に通う少年に新しいお母さんがやって来ました。仲良くなりたいのになかなかうまく話せない彼が「ぶたぶたさんのキャラ弁を作ってほしい」と言ったので、お母さんはぶたぶたさんに会いに行きました。
出てくる人たちみんな優しくて、でも不器用で思わず応援したくなるような話でした。
「最強の助っ人」では、意外と迫力のあるぶたぶたさんと出会えます。引越しの手伝いに行ったのに、引越す本人がのんびりしていることにちょっとお怒りのぶたぶたさん。珍しく毒舌キャラになっていました。最後はやっぱりかわいかったんですけどね

今度はもう少し長めの話が読んでみたいです。
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