小川洋子 著
「博士の愛した数式」
(新潮文庫)
家政婦の私が新たに派遣された家で出会ったのは、背広の袖に「ぼくの記憶は80分しかもたない」と書かれたメモが貼ってある博士だった。80分前のことは忘れてしまう博士にとって、私は毎日新しい家政婦になるのだった。博士は毎朝必ず私に靴のサイズや誕生日を聞き、そこから連想される数式について語ってくれた。
80分しか覚えていないという記憶障害を持つ博士。そんな博士に私は丁寧に優しく世話をしました。初めの頃は余計な手出しをしてしまったり、80分以上家をあけてしまってまた一からやり直すことになったりと色々ありましたが、徐々に上手く博士に合わせられるようになりました。
博士は数式や数字について説明することが得意で、説明しているときが一番幸せそうでした。私はあまり数学が得意ではありませんでしたが、博士の説明を聞くのは楽しくて、自分でも面白い数字を探すようになります。
あるとき、私に息子がいることを知った博士は「子どもを1人にしておいてはいけない」と強く言い張り、息子を家に呼ぶように言います。やってきた息子を見て博士は“ルート”と名付け、心から労わり愛します。ルートも博士になついて仲良く毎日過ごします。
こんな感じで淡々と毎日が流れる様子が書かれています。でもそれが嫌じゃない。とても静かな毎日で、読んでいても静かな気持ちになれる気がしました。
話の中で語られる数字や数式については、ハッキリ言って私には理解できない部分も多かったです。“素数”という文字を見た瞬間、ちょっとした拒否反応も出たくらい・・
読んだ方の感想で時々「数学が好きになるかも」なんて書かれていましたが、それは無いです
話の中でもう一つよく語られたのは阪神タイガースについて。ルートがタイガースファンなのです。そして博士も現役時代の江夏が大好きで、彼のことを今でも応援しているのです。江夏のことを知らないルートも一生懸命調べて彼のことが詳しくなりました。
この話が書かれた時代のタイガースが出てくるので、懐かしい名前がいっぱい。八木とかバースとか仲田・・。自分もその頃に戻るような気持ちで読みました。
ページ数も少なく、特に大きな展開があるわけでもオチがあるわけでもありませんけど、静かに穏やかな気持ちになりたいときに読むと良いかもしれません。
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タグ:小川洋子

最後には涙が‥(どこに泣くところがあるの?
と、不思議がられましたが)。
博士のルートを想う気持ちや、博士の淡い恋。
そしてタイガースの話も好きでした。
今でもたまに読み返すとやっぱり涙が出ます。
私も最後の場面好きですよ。ずっと穏やかに静かに話が流れるのに、最後は更に静けさが増して、しかも博士や周りにいる人たちの幸福感が伝わってきますよね。