2011年07月07日

上橋菜穂子「夢の守り人」

夢の守り人

 上橋菜穂子 著
 「夢の守り人」守り人シリーズ3
 (新潮文庫)



新ヨゴ皇国に戻ったバルサは、ユグノという放浪の歌い手と出会った。彼は人買いに襲われていたため、護衛しながらタンダの家へ向かうことにした。タンダは姪のカヤが数日間目覚めないことを心配し、様子を探り始めた。トロガイ師の言うことを聞かずに危険な呪術をかけたため、魂と身体を引き裂かれて、人鬼と化してしまう。


夢の世界で咲く“花”。その花が満開となり、種を作るために受粉する季節がやって来ました。受粉するためには、夢を見る人の魂が必要なので、寂しい夢を見ている人が目覚めないという現象が起き始めました。

タンダの姪・カヤ、チャグムの兄の母親・一ノ后、そしてチャグム・・。数日間目覚めないカヤを心配したタンダの兄は、タンダに助けを求めます。原因がわからなかったタンダは、自分の魂を飛ばし、カヤの魂を探します。

ところが、夢の世界で<花番>と出会い、罠をかけられて戻れなくなってしまいました。しかも<花守り>として身体を乗っ取られてしまい、人鬼となって歌い手・ユグノを襲い始めたのでした。

ユグノを守るバルサは、タンダと思われる獣に襲われ焦ります。身体は彼の物なので殺すわけにも大きく傷つけるわけにもいかず、でも相手は命を掛けて襲ってくるので半端ない力。さすがのバルサも苦戦を強いられます。

ユグノは花の種を植えて広める役割を持っています。そんな彼がなぜ花を守るはずの<花守り>に襲われるのか?


夢に囚われてしまう人たちには共通点がありました。それは、今の人生に不満があり、夢から覚めたくないと思ってしまう所。一ノ后は、息子(皇太子だったが亡くなったことでチャグムが引き継いだ)を亡くしたことから立ち直れず、悲しみに囚われてしまっています。カヤは結婚が嫌で、チャグムはバルサたちと過ごした日々に戻りたくなっています。

息子を失った悲しみを越えられない后の気持ちが痛いほど伝わってきた後半、何度も涙してしまいました。チャグムも皇太子としての重荷に日々耐えている健気さがたまりません。


初めて読んだときは、トロガイ師の過去が書かれている話・・という認識でしかなかったこの作品。数年経って、再読するとまた違う感じ方になりました。もちろん、トロガイ師の過去も重要ではありますが、タンダとバルサの絆の強さだったり、チャグムの想いや彼を見守る周りの人たちの不安な気持ちや思惑なんかも重要なんだと再認識しました。


トロガイ師はタンダとバルサは似ていると言います。やらねばならんと思うと、自分のことは二の次になってしまう。
でも決定的に違うのは、あいつはひどくさびしいやつで、いつも自分の人生を、今いるところまでだと思ってる。先を夢みていないから、命をかける瞬間の思いきりがちがう。
二人をよく知っているトロガイ師の言葉が強く印象に残りました。



<守り人シリーズ>
「精霊の守り人」
「闇の守り人」

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posted by DONA at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:上橋菜穂子
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