2011年04月28日

山本周五郎「花も刀も」

花も刀も

 山本周五郎 著
 「花も刀も」
 (新潮文庫)



剣で家を再興しようと淵辺道場に入門した平手幹太郎は、道場での稽古おさめの試合で筆頭代師範に勝利をおさめた。席次が上がるだろうと期待していた矢先、師範から破門を言い渡される。酒も飲まず、女あそびもせず、剣の道一筋で生きる彼の人生とは−「花も刀も」他「落武者日記」「若殿女難記」「古い樫木」「枕を三度たたいた」「源蔵ケ原」「溜息の部屋」「正体」計8編収録


まっすぐで不器用な平手。そのまっすぐさのせいで、ちょっとしたきっかけで大きく道を外れてしまう・・。

父親も剣の道を進んでいましたが、成功することなく、家は貧しいままでした。そこで幹太郎に夢を託し、幼少の頃から剣を持たせます。

父親の教えをきっちり身にしみ込ませて上達した彼は、田舎を離れ江戸へ出ることに。そして淵辺道場に入門しました。

稽古おさめで好成績を残した彼に師範は破門を言い渡します。「もう教えることはない」というのがその理由。自暴自棄になって飛び出す気持ちもわかる気がするほど、師範の言葉や態度は理不尽なものでした。

道場を出た彼は、ある女性と知り合います。彼女に助けられて人生を立て直す平手。

このまま人生はうまく進むか?と思われるのですが、また問題が・・。

器用な人にとってはたいしたことのない出来事ばかりなのですが、不器用な彼には大きな問題で、気づけば理由なく人を斬ってしまうまでになってしまいます。


きっと武士にはこういう人が多かったんだろう・・と思います。自分に厳しく、そして他人にも厳しい・・そんな彼の人生が深く刺さる話です。


若殿女難記」は、私の好きな話です。若殿が国入りするときに、部下たちが陰謀を図り、自分たちが雇った男を替え玉に据えます。ところがその替え玉の男は女好きで、毎晩のように宴会を開いては女性を口説いていました。

大丈夫か?この替え玉・・と心配になっていると、意外な結末が。読み終わるとスッキリ!痛快な物語です。


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posted by DONA at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:山本周五郎
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