高田郁 著
「出世花」
(祥伝社文庫)
不義密通を犯した妻を成敗するために幼い娘を連れて旅を続けていた矢萩源九郎は、ある寺で無念の死を遂げてしまう。寺に引き取られた娘・お艶は、“縁”と名前を変え、三昧聖として生きていくことになった。「出世花」「落合蛍」「偽り時雨」「見送り坂暮色」4編収録
お艶の成長が4つの話に書かれています。
“艶”という名前を嫌った父親からの遺言で、寺の住職・正真は同じ読み方でも字を変えて“縁”と少女に名づけます。
縁は父親の遺体がきちんと清められて浄土へ送ってもらったことを見て感動するのでした。
寺で暮らすうちに遺体を清める仕事を手伝うようになり、三昧聖という身分をもらい、名前も“正縁”に変えて働きはじめます。
遺体と向き合う姿を見た人たちが感動し、それが評判となって「三昧聖に湯灌してもらうと極楽浄土へ旅立てる」と言われるようになりました。そして、遠方からも正縁に依頼がくるようになります。
この作家さんの話は泣かずには読めません。今回も話一つ一つで号泣してしまいました。
正縁は、父親に先立たれ、母親にも捨てられ、決して恵まれているとは言えない環境ですが、寺の住職を始め、修行中の青年僧・正念や毛坊主と呼ばれる3人の男たち・・とたくさんの人たちにかわいがられ守られて生きています。
「湯灌」という亡くなった人の身体を清める仕事が題材になっているので、全体的に思い雰囲気ですが、日常のちょっとした出来事や出てくる人たちの言動にホッとできるような優しい気持ちになれる作品でした。
遺体を清める仕事・・なかなかできるものではありません。大変な仕事だと頭が下がる思いで読みました。
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