
有川浩 著
「シアター!」
(メディアワークス文庫)
小劇団「シアターフラッグ」の主宰・春川巧は、借金の返済に困り、兄の司に泣きついた。兄は300万円という大金を貸す条件として「2年間で劇団の売り上げから返済すること」と言い渡したのだった。お金の管理に無頓着だった劇団員たちは司の条件に茫然としてしまう・・。声優として活躍している羽田千歳も劇団員として加わり、新生「シアターフラッグ」が始動する。
“鉄血宰相”と呼ばれるようになった兄・司。それだけ厳しいことを言うからなんですが・・。
あまりにもずさんな管理体制に呆れながらも、一つ一つ問題点を指摘し、劇団員たちを指導していきます。口癖は「吊すぞ!」

でも、弟のことは大事だから、口に出すほどには冷たい人ではなく、愛情があっての厳しさ。だから弟を始め、劇団員たちも司の言うことをきちんと聞いて従います。
司が弟に厳しくするのは、父親が同じように役者をしていて貧乏だったから・・。母親の苦労を知っているぶん、弟には同じ道を歩んでほしくない。この思いで助けているのです。
弟・巧は、末っ子気質が抜けず、甘えん坊です。そして「好きなことをしているんだからそれで食べられなくても仕方がない」という考えで生きています。それは父親と同じ・・。司が厳しくするのもわかる!
巧の甘い考えを変えたのは、声優でもある羽田千歳。笑える名前の彼女がシアター・フラッグのオーディションを受けに来たことで、プロとしての自覚が目覚めた巧。
彼が少しずつ変わっていく様子も面白かったです。
300万を2年で。どうやって返していくのか?がメインになっていて、小劇団の細かい裏側もわかりますし、何よりも登場人物たちが活き活きと描かれていて、一気に読みきることができました。
司が巧のことを理解し始めた所で終わっているので、早く続きも読みたいです

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