
池波正太郎 著
「鬼平犯科帳18」
(文春文庫)
昔、盗賊としての手ほどきを受け、恩義を感じている盗賊の頭の娘が狙われていることを知って、密偵・仁三郎は誰にもそのことを告げずに何とか始末をつけようとする。仁三郎の胸の内はどのようなものだったのか。−「一寸の虫」他「俄か雨」「馴馬の三蔵」
「蛇苺」「おれの弟」「草雲雀」計6編収録「
仁三郎は密偵として大活躍を続けていました。ところが偶然“鹿谷の伴助”という昔馴染みの盗賊に出会ってから仁三郎の苦悩が始まります。
尊敬する盗賊の頭“船影の忠兵衛”の娘が嫁に入った菓子屋に伴助が押し込もうとしていたのだった。しかも昔の恨みをはらすつもりもあって、皆殺しにする予定になっていたのです。
仁三郎は伴助に協力するふりをしながら密かに伴助を殺害しようと思うのですが、二人でいるところを同心・山崎に見られてしまい、計画が続けられなくなりました。
山崎は評判の良くない同心で、仁三郎に「長官に言わずに二人で探ろう」などともちかけ、手柄を独り占めしようとしたのでした。
思い悩んだ仁三郎はある決心をし、思いきった行動に出ます。
悲しい結末でした。平蔵もなぜ仁三郎がこんな行動をとったのか理解できず相談してくれなかったことを深く悲しむのでした・・。
「馴馬の三蔵」では、ベテランの密偵・小房の粂八が昔の仲間に義理だてし、平蔵にも知らせず何とか自力で助けようとします。
密偵は「自分の身は死んだもの」として平蔵のため(というか、世の中のため、自分のため)に働いていますが、昔の義理はなかなか断ち切れるものではなく、仁三郎や粂八のように平蔵にも黙って行動をすることがあります。
昔の恩義と今の仕事の間で揺れ動く密偵たちの様子。それを思うと申し訳ない気持ちになる平蔵。そんな平蔵だからこそ密偵たちも命がけで助けようとするのでしょうが・・。
<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」
「鬼平犯科帳8」
「鬼平犯科帳9」
「鬼平犯科帳11」
「鬼平犯科帳12」
「鬼平犯科帳13」
「鬼平犯科帳14」
「鬼平犯科帳15」
「鬼平犯科帳16」
「鬼平犯科帳17」
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