
山本周五郎 著
「人情武士道」
(新潮文庫)
信子の家を訪ねて来たのは友人の和枝。彼女から「夫に仕官の口を紹介してほしい」と頼まれた信子は、夫・欽之助に頼んだが、夫から叱られてしまう。欽之助は和枝が昔、自分が縁談を断られた相手だと知り、思いがけない方法で仕官の口を紹介する−「人情武士道」他「曽我平九郎」「癇癪料二十四万石」「竹槍念仏」「風車」「驕れる千鶴」「武道用心記」「しぐれ傘」「竜と虎」「大将首」「猿耳」「家常茶飯」計12編収録
和枝はこの時代には珍しく明け透けに何でも話す女性で、年頃のときに周りの友人たちに対して恋の話を堂々と話していました。
美人だったので、縁談話がいくつもあったのですが全て断り、付き合っていた美男と結婚したのでした。
信子は和枝とは違い、控えめで見た目も特に美人というわけでもありませんでした。それでも欽之助を婿にもらい、無口な夫ではありましたが、幸せな毎日を送っていました。
そんな二人が久しぶりに再会し、粗末な着物を着てやつれた和枝を見て驚くことに。しかも、夫の仕官の口を紹介してほしいとまで頼まれたのでした。
そのことを知った和枝の夫は、欽之助が過去に和枝に縁談を申し込んでいたことを信子にばらします。ショックを受ける信子・・。
でも欽之助の想いを知って、最後には更に幸せに、満ち足りた気分になれたのでした。
欽之助の、妻や妻の友人、そしてその夫にまで気を使い、うまく性格を利用して士官の口を紹介したやり方に感心してしまう話です。
「竜と虎」は、なぜかいつもケンカが絶えない二人、西郡至と灰島市郎兵衛の話。1人ひとりを見ると正確もよく、評判も良い人なのですが、なぜか二人が揃うとケンカしてしまう・・。でもお互い他の人の前では、お互いを推薦するのでした。二人のケンカが始まると市郎兵衛の娘がうまく仲裁に入ります。
最後には婿と舅の関係になることに・・。その経緯が笑える話です。
笑える話もありますが、相手の性格や行動パターンなどを見極めて、うまく物事を収めていくような話も多い作品集です。
人間関係について勉強できるかも・・。
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