2011年02月02日

東野圭吾「毒笑小説」

毒笑小説

 東野圭吾 著
 「毒笑小説」
 (集英社文庫)



習い事や塾、家庭教師との勉強・・と忙しい孫に、なかなか会えなくて寂しい祖父。そんな彼の願いを聞いた麻雀仲間の老人たちは、ある計画を実行することにした−「誘拐天国」他に「エンジェル」「手作りマダム」「マニュアル警察」「殺意取扱説明書」「つぐない」「誘拐電話網」など計12編のブラックな笑いを収録した短編集。


仲間が孫に会いたがっているのを知って、知恵を絞った仲間たち。孫を“誘拐”することを思いつきます。

老人たちが何を考えてるんだか・・って、呆れてしまうような話なのですが、最後のオチがまた笑える・・というかちょっと悲しいんですよね。


どの話もぷっと噴出すような、ちょっとぞくっとするようなブラックな笑いが起きるのですが、私が特に好きなのは「マニュアル警察」です。

殺人事件を起こしてしまった男性が、近くの警察へ自首しに行きます。ところが警察はマニュアルに凝り固まっていて、自首してきた彼をどう扱って良いのかわからず、たらい回しにするのです。

まだ死体も見つかっていないのに、自首だなんて・・と迷惑そうにする警官たち。まずは事件を通報するところからさせられるのでした。

自首した男性と、警官たちのやりとりが妙に笑える話です。もしこんな警察になったら、ややこしいだろうな〜と思うとぞっとします。


つぐない」は、ちょっと優しい気持ちになれるようなしんみりした話です。子どもの頃に脳の手術を受けた男性がピアノを習うのですが、その必死な様子に周りは不安を感じるほど。

でも彼の気持ちを知ると納得というか、何となく優しい気持ちになれました。


誘拐連絡網」は、1人暮らしの男性の所にかかってきた電話から始まります。子どももいない彼に電話相手は「子どもを誘拐した」と言うのです。笑いとばす彼に、相手は「お前の子どもじゃないけど誘拐した」と言います。見知らぬ子どもを助けるために金を出せというわけです。

電話を受けた彼は、他の人に電話して同じ要求をすることを思いつき、連絡網のように身代金要求は繋がっていくのでした・・。


エンジェル」は、天使のような見た目の新しい生物が見つかった話なのですが、それを見た人たちの反応が想像できて、ぞっとしながらも笑えます。


なかなか面白い短編集でした。


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいでするんるん

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:東野圭吾
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/43142471
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック