
佐々木譲 著
「ユニット」
(文春文庫)
17歳の少年に妻と幼い娘を無残に殺害され、生きる気力を無くした真鍋。警察官である夫からの暴力に悩み、幼い息子を連れて家を飛び出した祐子。二人は偶然、同じ職場で働くことになった。犯人の少年が出所したことを知り、復讐を決意した真鍋は、生きる気力を取り戻した。一方、祐子には夫の影が忍び寄ってきていた・・。
妻子を殺害された真鍋は、犯人が少年だということで無期懲役の判決が出され、模範囚だった場合は7年で出所できると知り、自暴自棄になって酒におぼれる生活を続けていました。
門脇祐子は、警察官である夫からの執拗な暴力に心身共に疲れ果て、息子を連れて家を出る決心をしました。
工務店社長・波多野は、妻に離婚を要求され家を出て行かれて傷心していました。でも会社は続けなければ従業員が路頭に迷う・・と必死で気持ちを奮い立たせていました。
そんな3人が偶然出会います。そしてある出来事をきっかけに口をきくことになり、波多野は二人を自分の会社で雇うのでした。
・・と、前半は3人の出会いから、職場で働き少しずつ慣れて行く様子が書かれています。
初めはやる気のない堕落した生活を送っていた真鍋がある日突然、人が変わったように明るく元気になりやる気を見せ始めます。
そこから祐子や波多野とも更に親しくなり、3人は自分の人生をやり直していくのです。
真鍋の妻子を殺害した川尻という少年(出所後は24歳ですからもう大人ですね)は、就職先を探すために面接を受けまくるのですが、経歴に前科が書かれているためなかなか雇ってもらえません。「前科があっても良い」という職場で「あの親子を殺害した犯人だったらダメ」と断られたとき、川尻は「7年も前の事件のことを覚えているわけがない。きっと誰かが妨害しているんだ」と疑います。
「自分はそれだけのことをしたんだ」と反省する様子が全くない川尻に怒りがわきました。真鍋の気持ちがよくわかる・・とは言えませんが、全く関係なくてもこれだけ腹がたつなら身内だったらどんなにやりきれない気持ちになるだろう・・と思うと辛かったです。
祐子の夫は自分が暴力をふるっていたことを必死で隠し、でも妻に出て行かれたことも知られたくないし腹が立つし・・で、権力を使って祐子の居所を調べます。そして捜すうちに怒りがエスカレートして壊れて行く門脇の様子は読んでいてかなり怖かったです。
少年犯罪と家庭内暴力というテーマだけに全体的に重たい雰囲気の話でした。それでも支え合う真鍋、祐子(息子も)、波多野の3人の姿は何だかホッとできて、優しい気持ちになれました。
結末は何とも無残というかまあこれしか終わらせる方法は無いんだろうけど・・という終わり方でしたけど、3人の未来に希望がもてる良い終わり方だったと思います。
一気に話に引き込まれ、あっという間に読み終わる話でした。
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ラストへ向けての内容がいまいち思い出せません...
しかしそんなに悪くなかった気もします。。
ラストは「そして悪は全て滅びた・・」って感じでしょうか?(苦笑)
まあ、ハッピーエンドでよかったね〜って思える作品でした。