2011年01月15日

東野圭吾「白夜行」

またまたチャウ子さんのブログで紹介されていた本です。東野圭吾さんの作品、私にとっては当たり外れがあるので、いつも評判を見て読むようにしています。


白夜行


 東野圭吾 著
 「白夜行」
 (集英社文庫)



19年前、大阪にある廃墟ビルの中で質屋の主人が遺体で発見された。容疑者は何人か浮かんだが特定には至らず、事件は迷宮入りしてしまった。被害者の息子・桐原亮司と容疑者になった女性の娘・西本雪穂の二人は全く関わることなく、別々の人生を歩んでいく。事件から19年の二人の人生はどんなものだったのか。


ページ数が多くて、読み終わるのに時間がかかってしまいました・・がく〜(落胆した顔)

で、読み終えた感想は・・・・・何とも難しい作品だな〜という感じ。難しいというのは、感想を書くのが難しいという意味なんですが。

読み終えたときのあの感情は何と表現すれば良いのか。言葉にしにくいもや〜っとした感じふらふら


桐原亮司と雪穂の19年間の話なんですが、この二人の感情は一切書かれていません。周りの人たちから見た二人のことだけで。なので、周りの人が「こう考えているだろう」と想像しているだけで本人たちが実際にはどう思っているのかはわからない。

でも二人の話なんです。しかも二人は多分、すごく近くにいてきっと一心同体くらいの関係なのに、それがはっきりとは書かれていない。

つまり二人のことはほとんどが周りの人(と読者)の想像なんですよね・・。

二人の周りに現われる人もすごく多いです。次々と人が現われて一瞬、関係ない人の話かな?と軽く読んでしまうと後で絡んでくるから焦ることになります。途中で思わず相関図を書こうか?と思うくらい・・。私の記憶力が悪いだけかもしれませんけどね


そして結局、ほぼ何も明らかにされないまま終わってしまうたらーっ(汗) でも多分こうだったんだろう・・という想像はできるようになっているわけです。

二人の人生、スタートから間違えてしまった・・というか、そばにいた大人がもう少し違う対応をしていたら絶対もっと素直な人生だっただろうと思うと何ともいえない悲しい気持ちになりました。誰か一人でも手を差し伸べていれば・・・もうやだ〜(悲しい顔)

二人のしたことは本当にひどくてエグくて卑劣だとは思います。周りの人生を振り回して、中には取り返すこともできないくらいの目に合ってしまって。でも一方的に責めるわけにはいかないよな・・と思ってしまいました。


でも今回、私が感じた余韻、きっと数年後とかに別の環境で読んだら違う余韻になっていると思います。人それぞれ違うでしょうし、同じ人でも読んだときによってきっと変わるだろう・・そんな読了後の余韻でした。



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posted by DONA at 11:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書:東野圭吾
この記事へのコメント
そうですね、感想と言われると
難しいと思います。
私などは単純なので、面白いか、面白くないか
それだけなんですけど^^;
Posted by チャウ子 at 2011年01月17日 22:54
コメントありがとうございます。

面白いか、面白くないか・・が良く分からなかったんですよね〜。読み終わった瞬間は「え〜!?これで終わり??」と思う気持ちが強かったんですけど、一瞬の後は二人の人生を何だか色々考えてしまって何とも言えない不思議な気持ちが浮かんだんです。うまく書けませんが。
もっとはっきりさせてほしかった!と思ったんですけど、やっぱりこれで、この書き方で良いのかも・・とも思いましたし。
あ〜難しい・・・。
とりあえず「読むんじゃなかった!」とは思いませんでしたし、読んで良かったと今は思っています。
チャウ子さんが1位にあげていなかったら絶対に読まなかったであろう分厚い本。ブログで紹介して下さってありがとうございました。
また参考にして色々と読みますね〜。
Posted by DONA at 2011年01月18日 10:53
こんにちは、DONAさん。

この東野圭吾さんの「白夜行」は、昭和48年に始まり、最終的には19年後まで進みますね。
1章ごとに少しずつ時間が経過し、その物語の中心となるのは、唐沢雪穂と桐原亮司の2人。

各章の物語は、断片的な場面の積み重ねという印象です。
特別スリリングな展開というわけでもなく、様々なことがほのめかされつつ、ただ淡々と続いていくだけ。

しかも、全体的な流れはぼやけているのに、細部は妙にクリアななんですね。
物語の舞台となる昭和という時代の風俗や出来事に関しても、四大公害裁判の結審に始まり、オイルショック、インベーダーゲームの流行、銀行のキャッシュカード導入、スーパーマリオの爆発的流行などが詳細に綴られていきます。

その時代の描写の詳細さが、我々読者の記憶を呼び覚まし、断片的な物語を勝手に線で繋がれていくという感じでしょうか。

しかし、それぞれの出来事が確実に繋がっているのは分かるのですが、分かりかけると突き放されるということの繰り返しで、なかなか真相に近づくことができません。

雪穂と亮司の2人が、おそらく何らかの繋がりを持っているのも分かるのですが、2人が直接会話を交わす場面なども全くないのです。

しかも、この2人は物語の中心となっているにも関わらず、常に第三者からの視点で描かれるため、人の目を通しての2人しか知ることができず、そして気が付けば2人の悪意が、じわりじわりと伝わってきて--------。

上手く説明できないのですが、とにかく読者を引き込む力を持った作品だと思います。
桐原洋介殺害事件に巻き込まれた2人の小学生のその後の物語だったはずが、老刑事の登場によって読者は、19年前に引き戻されることになります。

最後まで読んだ時に、あまりに綺麗に張り巡らされた伏線に改めて驚かされました。
それまでの東野圭吾さんの作風とは少し異なりますし、特に「秘密」の暖かく包み込んでくれるような作品とは全く逆の乾いた哀しさが残る作品ですね。

しかし、これも東野圭吾さんの世界なのですね。ストーリーテリングの巧さでは、元々定評のある作家さんですが、本当に凄い作家ですね。
Posted by 紫陽花 at 2023年09月28日 09:16
>紫陽花さん
素敵な詳しい解説ありがとうございます。
でもかなり昔に読んだので内容も覚えていない状況です。申し訳ありません。東野圭吾は自分にとって好きな作品と苦手な作品に分かれてしまうので、読むのを躊躇することが多くなっています。
Posted by DONA at 2023年10月02日 14:47
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