
加納朋子 著
「いちばん初めにあった海」
(角川文庫)
堀井千波は引っ越しの準備をしていたとき1冊の本を見つけた。自分の本のはずがなぜか見たことがないその本は「いちばん初めにあった海」という題名で、表紙の色使いに惹かれ読み始めたところ、ページの途中に未開封の手紙がはさまれていた。“YUKI”という差出人からの手紙には「私も人を殺したことがある」と書かれていた。“YUKI”とは誰なのか?なぜ本にはさまれたまま気づかなかったのか?
千波が夜、眠ろうとしているところから話は始まります。眠りたいのに周りの騒音で眠れない・・悶々とした夜を過ごすわけです。ちょっと暗い雰囲気で始まるのですが、妙に気になりました。
騒音が辛くて引っ越しを考えるのですが、その準備中に見つけた1冊の本。それがこの作品の題名になっている「いちばん初めにあった海」
空と海の青を表現したその表紙に惹かれて読み始めた千波は、一気に物語に引き込まれます。その途中にはさまれていた手紙が千波の人生(運命)を大きく変えていくのです。
YUKIという名前に覚えが無かった千波は、学生時代のアルバムを出してきて名前を探します。結城麻子というその友だちのことをすっかり忘れていた千波。
親しくしていたはずの彼女のことをなぜ忘れてしまったのか?
後半、一気に謎が解明されていきます。泣きそうになる場面もあり、最後は優しい気持ちになれる話でした。
ただ、一つ気になる部分が・・。友人の結城麻子は神戸からの転校生ということになっているのですが、言葉が違う


「かんにんなあ」「ええねん」← こんなこと言いませんよ

そしてもう一つの話が・・。「化石の樹」は、ずっとなんの話かな?と思っているうちに一気読みしてしまい、後半に「もしかして」と思い当たり・・という感じ。
読んでいないとなんのことかさっぱりわからないと思いますが

この作家さんは本当に優しい世界観があって、読み終わると優しいふんわりとした気持ちになれます。
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