2010年12月21日

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

伊坂幸太郎著 「ゴールデンスランバー

(新潮文庫)


数年前に映画化されて、見に行くかどうか迷った作品です。やっと文庫化されたので読んでみました。


仙台で行われた首相のパレード。たくさんの人が見ている前で、首相が何者かに爆殺された。犯人として名前が挙がったのは“青柳雅春”という青年。ところが彼は無実だった。数年前、アイドルを強姦から救ったことで一躍有名になった彼がなぜ犯人として追われることになったのか?遠慮なく銃も撃ってくる警察関係者たちに怯えながら逃げる青柳雅春。彼は逃げ切ることができるのか?


首相のパレードが行われ、テレビでその中継を見ている女性二人の様子から話は始まります。あまり興味が無い二人は、テレビ中継自体も真剣に見ていたわけではなく、ランチを食べながら何となく見ていた・・という感じでした。

突然、画面が騒がしくなったと思ったら爆発が起きていて、首相が殺害されたことを知るのです。

その後は、捜査の様子が書かれるのか?と思ったら、今度は病院で入院中の患者たちがテレビの報道にかじりつく様子が書かれます。・・・私はこの流れについていけなくなったんですが。

この一見関係なさそうな人たちも後で深く関わってくるんですよね〜。

犯人は青柳雅春という青年。逃げ回る彼を追いかける警察関係者の様子はかなり恐ろしく、というかついていけないくらいの異常さ。街中でも銃を撃つ!しかもそれさえも青柳のせいにするという、本当にあり得ない事態に。

青柳雅春は実は何もしていません。ところが犯人として追われることになるのです。身に覚えのない罪で追われ、しかも証拠も次々と出てくる様子は本当にハラハラドキドキしました。自分が追われているようなそんな気分にさえなるくらい。

真犯人は絶対に単独じゃないことがわかりますし、しかも国のトップの方の強い権力をもった集団が関わっているとしか思えない。

マスコミにも犯人扱いされ、これだけ証拠も出てくると、みんな「青柳が犯人だ」と思うでしょう。でも孤独な彼を助けてくれる人もいて、少し温かい気持ちにもなれました。

「人を信頼するのが僕の強み」なんて言うくらい彼は人を信じて、何度裏切られても信じていきます。そんな人柄も周りを動かす力になるんでしょうね。


必死で逃げる青柳雅春と彼の周りで助けようとする動き、そして執拗に追い回す人たち。誰が味方で敵なのか?後半は驚くほど一気に読んでしまうスピード感ある話でした。この作家さんにしては珍しい感じ?でも面白かったです。


題名の「ゴールデンスランバー」というのは、ビートルズの曲名です(「Golden Slumbers」といいます)。私は知りませんでした。優しい子守唄だそうですよ。解散間近の頃に書かれた曲だそうです。主人公が何度か口ずさんでいて気になったのでネットで調べて聴いてみました。なかなかキレイな曲。



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どうでもいいことですけど、登場人物の名前がほぼみんなフルネームで連呼されていたのが気になりました。主人公も“青柳雅春は〜”とずっと書かれていましたし、友だちは森田森吾、元彼女は樋口晴子・・・。何ででしょうね?
しかも私、主人公のことをどうしても「あおやぎがしゅん」と読んでしまって治らなかった・・もうやだ〜(悲しい顔)

大沢在昌著「新宿鮫」

やっと読み始めました!
posted by DONA at 11:31| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書:伊坂幸太郎
この記事へのコメント
私もDONAさんとおんなじ感想を持ちました。
前半はほんと退屈で、途中で読むのやめようかと
何回も思いましたが、後半は一気読み。
特に元カノの晴子のキャラが好きでした。
あと、青柳の両親が手紙を読むところで
涙が出ました。
ラストも好きでした。
Posted by チャウ子 at 2010年12月21日 20:52
>チャウ子さん、コメントありがとうございます。

元カノさん良い人でしたね。私も好きです。っていうか、主人公の周りの人たちみんな良い人。これだけ味方がいると、小さな力であっても心強いですよね。
手紙のシーン、私も泣きました・・。意外とクールな両親でしたけど、無条件に息子を信じる様子が感動的でした。
ラストもさわやかでしたよね?疑問もたくさん残りますけど、これで良いのかも・・と思えました。
Posted by DONA at 2010年12月22日 20:10
新宿鮫、読み始めたんですね!

新宿も私のナワバリなので、「笑う警官」のような地図を作ろうと思っていたのですが、今日、ようやく作成して追加アップしたところです。

よろしければ、読書の参考にどうぞ。(記事と関係のないコメントですみません。)
Posted by 北旅 at 2010年12月23日 23:21
>北旅さん、コメントありがとうございます。

地図さっそく見させていだたきました。(実は北旅さんのブログにコメントしたらこちらに返事するのを忘れました・・遅くなってすみません。)
Posted by DONA at 2010年12月25日 11:15
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