池波正太郎著 「剣客商売 勝負」
(新潮文庫)
秋山大治郎は義父・田沼意次から一刀流の道場を構える谷鎌之助との試合を命じられた。鎌之助はその試合に仕官がかかっていたのである。そのことを父・小兵衛に報告すると「負けてやれ」とあっさり言われた。どうすれば良いのか悩む大治郎・・−「勝負」他「剣の師弟」「初孫命名」「その日の三冬」「時雨蕎麦」「助太刀」「小判二十両」計7編収録
以前、牧野越中守から「秋山大治郎を召抱えたい」と熱望されたのを断ったため、大治郎の代わりに召抱えることになった谷が大治郎に勝つことが条件になったわけです。
そんな事情を聞いて小兵衛も妻・三冬も共に「負けてやれ」と言います。大治郎にしてみれば、見たこともない相手に対して「負けてやる」も何もないわけで、もしかしたら真剣に立ち合っても自分が負けるかもしれない・・と言うと「今のお前に敵う剣客はいない」と小兵衛は言い切ります。
それでも勝負はわからないものですから、大治郎は悩んでしまいました。
この話の最後に、三冬が男の子を出産します。大治郎は晴れて父親に、小兵衛はおじいちゃんになりました。
「剣の師弟」は、昔かわいがっていた(目をかけていた)弟子・黒田を小兵衛が偶然見かけたことから始まります。黒田は昔、盗みに入り、その家の夫婦や使用人などを斬って逃げました。それ以来、音信不通だったわけですが、久々に見た弟子の様子は、悪事に手を染めていそうな雰囲気をしており、小兵衛は密かに探り始めます。最後は悲しい結末が・・。それ以後、しばらくは元気が出ず、落ち込んだ日々を過ごすほど心に傷を負いました。
「初孫命名」では、孫の名前を付けることになった小兵衛が巻き込まれた事件の話。大事な孫の名前、悩みに悩む小兵衛は、いつも悩みを相談する友人を訪ねて行ったのですが、そこで事件が起きるわけです。
孫の名前は「小太郎」になるのですが、結局、小兵衛は悩みすぎて決められず、大治郎の案で決定しました。小太郎は、両親に似て男前の顔をしていますが、小兵衛は「体が小さい。わしに似たのでは??」と悩むのです。
家族が1人増え、更に賑やかになる秋山家。そして「孫ってかわいいもんなのね〜」と改めて感心するくらいの可愛がり方をする小兵衛。ますます楽しみになるシリーズです。
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