池波正太郎著 「鬼平犯科帳13」
(文春文庫)
居酒屋“次郎八”の常連客は眉毛と眉毛の間も毛が生えて繋がっているという珍しい顔をしていた。その客とよく一緒に飲む、木村忠吾は「一本眉」と密かに呼んでいた。この一本眉には実は裏の顔があったのだった・・−「一本眉」他「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」計6編収録
一本眉の男、木村忠吾と仲良くなって楽しく酒を飲める飲み友だちとして好感のもてる男なのですが、実は裏の顔は盗賊でした。このシリーズに出てくるわけですから当然そうですよね・・。
一本眉は、盗賊の三ヶ条・・盗まれて困る所から盗らない、人を殺傷しない、女に手を出さない・・をきちんと守る正統派の盗賊でした。
目当ての大店に下女として手下を潜り込ませていたのですが、その店が別の盗賊に襲われてしまいました。 しかも“畜生盗め(ちくしょうつとめ)”として盗賊たちからも忌み嫌われる店の者を皆殺しにするという手口での盗み。
下女は必死で逃げたわけですが、盗賊改方は「下女の遺体が無い=下女が盗賊の仲間」と思い、捜査を進めて行きます。
怒った一本眉一味は、畜生盗めをした盗賊一味を探し出して、盗賊改方の前に差し出したのでした。
まあどんな盗み方でも、悪い事は悪いわけですが、それでも結末にスカッとする思いがしました。
「熱海みやげの宝物」は、平蔵夫婦が熱海へ湯治に行った所から始まります。そろそろ湯治にも飽きた頃、一緒に来ていた彦十が昔の盗賊仲間・馬蕗の利平治を見かけます。ある宝物を持っているという利平治はその宝物を狙っている者たちから命を狙われていました。それを平蔵が助けます。
「墨つぼの孫八」は、おまさの昔なじみの盗賊の話。おまさが一人でいるときに声をかけてきた孫八。盗みの手伝いを頼まれたおまさでしたが、以前と違う様子の孫八に違和感を覚えます。病気で苦しみながら死ぬことを極端に恐れていた孫八の結末は・・。
今回も部下や密偵たちをうまく使って捜査を進める平蔵の姿が楽しめる作品になっています。
<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」
「鬼平犯科帳8」
「鬼平犯科帳9」
「鬼平犯科帳11」
「鬼平犯科帳12」
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引き続き「七回死んだ男」
なかなか面白いです