佐々木譲著 「警官の血 下巻」
(新潮文庫)
安城民雄は父の跡を継ぐように谷中の駐在所へ異動することになった。心の傷はまだ完全には癒えていないが、落ち着いて勤務にあたり、住民からも信頼を得られるようになってきていた。勤務の合間に父の死の原因も探り始め、解決の糸口が見えかけた。そんなとき、近くで発生した立てこもり事件の現場へ駆けつけたが・・・。民雄の息子・和也も祖父と父と同じ道を選び、警察官となった。警視庁捜査四課に配属された彼は、ある警察官の調査をすることになった。
確かに警察小説でありながら、大河小説って感じのすごいスケールの作品でした

大きな事件が起きて、それをどうやって解決していくか?をメインに書かれているのが警察小説だと思うのですが、この作品は事件そのものはそれほど起きないのに、上下巻飽きずに読みきることができました。
三世代警察官というのは珍しいですし、それぞれ違う部署で、違う任務に就く所も楽しめます。性格も微妙に違っている所があり、その違いも楽しめました。
下巻に入り、少しずつ落ち着きを取り戻してきた民雄。息子・和也との関係も少しずつ改善されてきました。そのお陰で同じ道を選ぶことになったわけです。
三代警察官とはいえ、祖父のことは知らない和也が、祖父の死についても調べる気持ちになり、解決させていきます。和也が一番気が強いというか、世間慣れしている感じがして、真相を知って少しショックを受けたようですが、すぐに立ち直ることができ、更にはそれをきっかけに(うまく利用して)難を逃れ、前へと進んでいくのです。
ある意味、現代人らしいと言えるのかもしれません。
文章も少しずつカタカナが増えてきて、起きる事件の性質も変化しますし、世の中の考え方や行動パターンなどもどんどん変化し、現代に近づく感じがリアルに表現されていました。
ふと、自分の祖父の代っていうと、こんなに違いがあるんだ・・と思い、感動というか、不思議な気持ちになることもありました。
上下巻、一気に読むことをおすすめします。
「警官の血 上巻」
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わたしも自分の父の時代に想いを馳せながら読みました。
そして段々と自分が社会に出た時代になり...みたいな。
大河ドラマ感があるのはやはり幾世代も経るからでしょうね。
本筋の受け継がれる謎の究明という点では、途中しつこいなと
思う所もあり。
しかし、世代ごとに登場する脇キャラや時代を反映した
事件などにより、飽きる事無く読めました。
この作品でした。
佐々木さんの本は何冊か読んでますが、
この「警官の血」が一番好きです。
最初は読みづらいかな?と思っていたのですが、
一気読みでした。
謎の究明の部分は、確かにしつこいと思いましたね。出てくる回数の割に、全く捜査は進まないですし・・。でも突然ちょっとしたきっかけで一気に解決??そこは納得できない感じでした。
でもまあ、他の部分で変化も大きくて面白かったです。
この作品が初だったんですね?いきなり大作を読まれたんですね〜。
初めの清二の部分は時代的にも暗さが目立っていてちょっと読みにくいところもありましたね。でも気づけば引き込まれていた・・という感じでした。
佐々木譲作品、また読んでみようと思います。