東川篤哉著 「密室の鍵貸します」
(光文社文庫)
面白いという評判を見かけて買ってみた本です。初めての作家さんです。
大学生の戸村流平は、就職の内定ももらい、卒業を待つだけの平凡な日々を送っていた。ところが、つきあっていた彼女に振られてからは落ち込む日が続いてしまった。落ち込む彼を見かねた先輩に誘われて家にあそびに行き、映画を見てい流平だったが、その間に元彼女が背中を刺され突き落とされて死亡する事件が起き、更には部屋の中で先輩も知らぬ間に殺されていた。密室の中で起きた殺人。容疑者が流平一人・・。
これがデビュー作だそうです。
二人きりで過ごしていた部屋で、そのうちの一人が殺されてしまう・・なんてすごい設定。
当然、容疑者は生き残った一人になるわけで・・。しかも同じ時期に元彼女が殺されたとなると容疑者から犯人に格上げされるのも当たり前。
でも読者はこの容疑者が犯人ではないと知っている。・・・なかなか面白いですよね。たまに犯人じゃないと知っていたはずが実は犯人でした・・なんて落ちで終わることもありますけど

おかげで、あっという間に読めてしまい、時々クスッと笑う場面もあって、結構楽しめました。
ただ、途中で筆者が語り出すのですがそれが気になったんですよね〜

その不足を補うためにも、もうひとつの視点を用意しておこうと思う という文章。「この先、視点が変わりますよ」という説明なんですけど、読んでいたら視点が変わったことはわかるわけで、必要か?と思ったんです。
でもこれだけなら「まあこういうのもありかな?」と読み流せたんですけど、途中で読者の気持ちを口に出してしまう・・という文章も

こんな説明でよく納得するものだ、などと皮肉なことを言ってはいけない。
いやいや、勝手に思っておくから放っておいてほしい・・

更に最後の方で「ここからさらに死体が増えるようなことはあるまいー」というくらいの予想は立つだろう。事実、そのとおりである。終わりは近い。
おいおい、それはネタバレでしょう。もしかしたら残りページが少なくてもまた誰か被害に合うかもよ〜。
って感じで、要所要所に筆者の説明みたいなのが入ってくるんですが、これがストーリーに入り込もうとするのを止める気がして・・。ちょっと興ざめでした。
慣れれば楽しめるのかもしれませんし、こういうのが好きな人もいるでしょうけど、私はあまり好きになれませんでした。
ストーリーが面白かっただけに残念です。
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乃南アサ著「風の墓碑銘 上巻」
久々の音道シリーズ、楽しく読んでいます
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