北森鴻著 「メイン・ディッシュ」
(集英社文庫)
ネットで評判が良かったので、読んでみました。名前は知ってましたが、読むのは初めての作家さんです。
小さな劇団「紅神楽」の看板女優・紅林ユリエは“ねこさん”と呼ばれている。そのユリエの同居人は“ミケさん”という男性。ミケさんは天才的な料理人で、推理能力もあり、劇団の座つき作者の小杉がアイデアに詰まる度に助けてくれるような頼れる存在。そんなミケさんには誰にも言えない秘密の過去があった。
短編集になっていて、一つずつ話は完結するのですが、実は始めから話は繋がっている・・という形態の本です。
そして、一遍ごとにユリエが中心になったり、第三者が中心になったりして話は進みます。
一見関係ない話に思えるので、始めは「??」という感じでついていけなかったのですが、徐々に二つの話は交わってきて、最後に一つの物語になります。
初めの話で、ユリエとミケさんが面白い出会い方をする様子が書かれていて、次の話ではすでに同居状態に。
初めの出会いですでに話に引き込まれる感じでした。で、突然第三者の話になって、わけがわからなくなって「でもきっとこの話も何か関係があるんだろう」と気づいてからはもっと引き込まれてしまいました。
登場人物たちのキャラも良い

更に、ミケさんの作る心のこもったおいしそうな料理はこの話を盛り上げる重要な小道具になっています。高級食材は使っていないのですが、手間をかけることで美味しく仕上げる。天才料理人が家にいるなんて、ねこさんは幸せです。
ミケさんは言葉数が少なく、過去についても語らないのですが、その謎めいた過去が少しずつ明らかになり、結末を迎えます。
というわけで、とても楽しく読むことができました。
文庫には、単行本にはなかった特別編が入っているそうなので、もし単行本しか読んでいない方は、こちらも読んだ方が良いですよ


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慣れるまで時間がかかりそう・・。