池波正太郎著 「鬼平犯科帳8」
(文春文庫)
非番もなく働きづめだった同心の小柳は妻の死に目にもあえなかった。妻は非常な難産で、男の子を生みおとすと共に息絶えてしまい、生まれた子どもも死んでしまった。それまでの小柳はおっとりした人柄だったが、これ以来、職務に励み、腕も磨き、男らしさを増した。そんな小柳同心は、又八という盗賊を牢から逃がしてしまった−「あきれた奴」他「用心棒」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」「あきらめきれずに」計6編収録
墓の前で長官である長谷川平蔵に「小柳、ゆるせよ」と頭を下げられたことで、全てを水に流した小柳でしたが、やはり、妻子を一度に亡くしたこと傷は簡単に癒えるわけもなく、人が変わったように剣術の稽古に励み、職務に命をかけるようになりました。
始めは「死ぬつもりなのでは?」と心配されましたが、どんどんたくましくなっていく小柳を見て安心し、今では平蔵が何かあったときには頼りにするような存在に・・。
そんな小柳は、又八という盗賊をとらえたのですが、牢から逃がしてしまいます。牢から逃がした罪で、小柳は捕まってしまいますが、理由も言わずに黙って牢に入っていました。
小柳と又八の間に何があったのか?
命がけで職務を全うする小柳の強さに感動する話です。
「用心棒」では、平蔵が浪人のような風体になり、高木軍兵衛という用心棒を手助けします。見た目は強そうな高木ですが、実際はとても弱い・・でもそれは雇ってくれている店には内緒でした。そんな高木の人柄に惹かれたこともあり、平蔵が助けます。
「明神の次郎吉」は、左馬之助が昔の恩人の最期をみとってくれた次郎吉に感謝して恩返しをする話。その次郎吉は実は盗賊で、偶然見かけた元盗賊のおまさに見つかってしまいます。左馬之助の純真さを大事に思う平蔵は、密かに捜査を進め、次郎吉を捕まえます。
人とは良い事をしたり悪い事をしたり、色々な面をもっているもので、複雑だからこそ面白いこともある・・と改めて知ることができる作品です。
<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
「鬼平犯科帳6」
「鬼平犯科帳7」
↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです



引き続き「マークスの山(下)」
もうすぐ読み終わります。