池波正太郎著 「鬼平犯科帳6」
(文春文庫)
年が明けて、家族との団欒を楽しむために私邸に戻った平蔵と久栄だったが、日頃の疲れもあり平蔵は寝床から出ずにずっと眠っていた。そんな毎日を過ごしている平蔵の元へ、与力の佐嶋がやって来た。佐嶋の叔父が事件に巻き込まれたということで助けを求めにきたのだ−「礼金二百両」他「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」「のっそり医者」計7編収録
いつも忙しく、しかも命がけで働いている平蔵に、妻の久栄は「なぜそこまでするのか?」と問います。それに対し「つくづくとばかばかしく思うが、この御役目がおれの性にぴたりはまっているのだ」と答えます。
長官である平蔵自らが率先して命をかけて働くことで、下の者たちはついてくるわけで、サボるわけにはいかないのです。
この仕事に誇りと自信をもっている平蔵は更に「他のだれがやっても自慢ではないがおれほどにできまい」とも言います。何とも頼もしい言葉です。
この御役目には、目に見えないというか公に出来ないお金がどうしてもかかってしまいます。元盗賊で今は捜査を手伝ってくれている者たちにも気前よくお金を渡さなければ、生活に困ってまた盗賊に戻りかねませんし、身を粉にして働いてもらえません。
詳しい情報を手に入れたければお金を握らせないといけない場面も多くあります。ですが、幕府からもらえるお金なんてしれていて、平蔵も私産をなげうって御役目にあたっているのです。
「礼金二百両」は、そんな平蔵の金銭的な苦労も垣間見え、それを支える与力・佐嶋や妻・久栄の気持ちも痛いほどわかる話になっています。
「大川の隠居」ではちょっとスカッとするような、笑える話が書かれています。老盗の友五郎が、評判の鬼平の鼻をあかしてやろう!と役宅へ忍び込み、平蔵の煙管を盗みます。病床にあったとはいえ、自分の部屋へ忍び込まれたことが腹立たしくもあり、でも何ともにくめない友五郎に惹かれてしまい、軽く仕返しをすることに・・。
平蔵の苦労や元盗賊で今は助けてくれている人たちの活躍が楽しめる作品集です。
<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
「鬼平犯科帳3」
「鬼平犯科帳4」
「鬼平犯科帳5」
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引き続き「宿敵」
事件が次々と・・。