ポール・リンゼイ著 「目撃」
(講談社文庫)
パトリシア・コーンウェルが絶賛している・・ということで、思わず手に取った本です。久々に読んでみました。
FBIの捜査本部に、マフィアのスパイが潜入し、捜査協力をしている情報提供者(インフォーマット)のリストが盗まれてしまった。内部に協力者がいるのでは?と極秘に捜査が開始される。同じ頃、捜査員の娘が行方不明になってしまい、その捜査も同時に行われることに。
現役のFBI捜査官が書いているということで、なかなか迫力のある作品で、再読でもとても面白く読めました

登場人物が回想して、時間が行ったり戻ったりする感じが時々ついていけなかったり、登場人物が色んな愛称で呼ばれるせいで誰のことかわからなくなったり、問題もありますが、それは仕方ないのかな?と。
主人公のマイク・デヴリンがかっこいい!

仲間たちも個性的で、それぞれが特技をもっていてそれを活かして捜査していく様子は読んでいてスッキリします。
嫌な上司のことを「ヨーダ」と呼び、その腹心の部下たちのことを「ジェダイ」と呼ぶ所もまた笑えます。結末は悲しいのですが・・
FBI内部の腐敗した様子とか、捜査官たちの心の動きや葛藤など、現役にしか書けない表現も多く、警察物が好きなら楽しめる作品です。
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東野圭吾「悪意」
加賀シリーズも4冊目になりました。
この作者のポール・リンゼイは、この作品を書いた時、現職のFBI捜査官であったということで、さすがにFBIの内部の描写はリアルですね。
その官僚主義的な体制や腐敗ぶりには驚かされるものがあります。
それにデヴリンの上司は、本当にとんでもない人物ですね。
人の手柄を横取りすることしか考えていないですし、自分の思い通りに動かないからと、優秀な人材を本気で潰しにかかるような人間です。
実際には、ある程度デフォルメされているとは思いますが、本当にこういうタイプの人間はいそうですね。
もしかしたら、ポール・リンゼイの上司にもそういうタイプの人間がいて、書きながらストレスを発散をしていたのかもしれませんね。
そして、その上司に対抗するのが、デヴリンとその仲間の捜査官たち。
上司たちとは逆の意味で、これまた実在していたら、ちょっと心配になってしまうほどの気合いの入ったメンバーです。
腐り果てた上司たちとの対比で、より行動的であり、魅力的に感じられますね。
第一部は人物紹介や、FBIの腐敗ぶり、デヴリンの反骨精神が中心に描かれているので、物語の導入的要素が強いのですが、第二部に入って、デヴリンたちが、内密の捜査を始めた頃から俄然面白くなってきますね。
それぞれに特技を持った男達が、古い倉庫を基地にして動いているところなんて、なんだかまるで「アンタッチャブル」のようなイメージですね。
彼らの会話もとてもテンポがよくていいですね。特に、古い倉庫に仲間を迎え入れる時の挨拶が最高ですね。
いつも詳しい解説をありがとうございます。この作者は新作が出なくて残念です。心待ちにしているのですが。